三菱UFJと東京海上日動が令和版スペースシャトル活用に向けたパートナーシップに参画
いま世界で進展しているの宇宙港構想のひとつとして注目
2024年7月12日、米Sierra Space(シエラスペース)は大分県、兼松株式会社、日本航空と共同で実施中の「スペースポートおおいた」活用に向けた検討パートナーシップに、三菱UFJ銀行および東京海上日動火災保険が参画すると発表した。 【写真】「スペースポートおおいた」の俯瞰写真を見る 近年、スペースXなど民間のスタートアップの登場により宇宙開発競争が激化しており、宇宙港「Space Port(スペース・ポート)」という新たな概念が誕生している。 スペースポートには、名前が表すとおりの「宇宙に行くための発着拠点」=「ロケットの発射場・着陸拠点」としての機能と、「地球上の他の地点に行くための拠点」=「従来の空港とほぼ同じ機能」としての機能の二つが存在している。 後者に関して従来の空港と何が違うのかと言うと、宇宙港の滑走路からスペースプレーンを飛ばし高度を上げることで、空気抵抗の少ない上空を飛ぶ次世代機を想定しているのである。 ちなみに、先行しているアメリカではすでに数カ所の宇宙港が開設しており、そのほかの世界各国でも開設計画が進められている。最新トレンドとして宇宙港にはにわかに注目が集まっている。 日本では、北海道/和歌山/大分/沖縄の4カ所が候補地として名乗りを上げ、このうち和歌山にある「スペースポート紀伊」は2021年に運用を開始し、2024年3月には日本の「カイロス第一号機」の打ち上げを実施してニュースにもなっていたので記憶に新しいだろう。
宇宙往還機「ドリームチェイサー」は再利用可能な無人宇宙船
シエラスペースが開発する宇宙往還機「Dream Chaser(ドリームチェイサー)」は、かつてのスペースシャトルと同様に再利用可能な無人宇宙船で、飛行操縦のための翼が備わっているため、地球帰還時には滑走路に着陸でき、ISSからの貨物を回収することが可能な宇宙船として設計されている。現在は、飛行に向けた試験が行われている段階で、2024年後半の打ち上げ実施に向け準備が進められている。 なお、着陸候補地の一つが日本というだけでなく、宇宙ステーションとのドッキングシステムも日本のIHI/兼松が共同で開発したシステムを採用するなど日本との関係も深いためか、海外のスタートアップとしては珍しく公式HPに日本語表示オプションが用意されている。
大分に令和版スペースシャトルが着陸するかも知れない
シエラスペースは、これまで日本のパートナー企業と連携し、同社が開発する宇宙往還機のアジアにおける着陸拠点として整備、活用することを目指して検討を進めてきた。 今回、このパートナーシップに三菱UFJ銀行と東京海上日動火災保険が加わることで、大分空港を宇宙港として活用する取り組みがさらに進展することが見込まれている。 「スペースポートおおいた」構想が実現すれば、いつの日か宇宙船が日本の空を飛ぶ様子を見られるというだけでなく、大分周辺地域の産業振興にも寄与することになるため、今後の展開に注目である。