北朝鮮のウクライナ派兵で朝鮮&台湾「ダブル有事」が勃発する!?世界大戦に発展する可能性も
いまだ終結の見通しが立たないウクライナ紛争。そんな中、先月、北朝鮮が建国以来、初めてとなるロシアへの大規模な派兵に踏み切った。これにより「朝鮮有事も起こりうる」と元内閣官房参与の髙橋洋一氏は言う。 本記事は『60歳からの知っておくべき地政学』の一部を再編集してお送りする。
北朝鮮とロシアの間で締結された条約
北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を続ける一方で、兵士をロシアとウクライナの戦争の最前線に派遣している。その理由は2024年6月に北朝鮮とロシアの間で「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結したからだ。 これは両国の有事における相互軍事支援を含む条約であり、事実上の軍事同盟とみなされている。 もっとも、金正恩総書記は「同盟」と表現しているが、プーチン大統領はそのように述べておらず、両国間には微妙な温度差が見られる。それでも、今回の北朝鮮によるロシア支援は条約の実行に他ならない。
北朝鮮のウクライナ派兵で朝鮮&台湾有事が同時勃発!?
一方で韓国はウクライナに武器支援を行っており、北朝鮮と韓国の間で間接的な戦闘が繰り広げられているともいえる。北朝鮮がロシアへの支援をさらに拡大すれば、韓国も対応を迫られ、現地に兵士を派遣する可能性も出てくる。 韓国と北朝鮮がウクライナで火花を散らすことになりかねず、それは近い将来の朝鮮半島有事を予見させるものだ。 もし朝鮮半島で有事が発生すれば、北朝鮮と同じ陣営である中国とロシアも行動を起こしてくる可能性があるので、日本有事は目前の危機となる。中国による台湾有事が起きれば、日本はまさに「ダブル有事」に直面しかねない。
NATOとアメリカの対応次第で大戦に発展する可能性も
北朝鮮のロシア支援に対して、NATO加盟32カ国は共同声明で「欧州・大西洋の安全保障に深刻な影響を及ぼし、インド太平洋地域にも影響を及ぼす」と警告。これにオーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国、ウクライナも支持を表明している。 しかしNATOの本音としては、ロシアや北朝鮮が軍事的な行動を強化した場合、自分たちも積極的に対応せざるを得なくなることに懸念を抱いているように見える。アジアの問題までは面倒みきれないからアジアで処理してくれという立場だ。 もっとも、金正恩はトランプとの再対話を望んでいるだろう。トランプからみても、北朝鮮の切り崩しが一つの選択肢となるかもしれない。ウクライナの状況を含めて世界が大きく変わることも予想される。