マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマへ試乗(2) 妥協も許せる豊潤なソウル メカニカルな感覚
スタイリングとフェラーリのV8へ惹かれる
快適に長距離をこなす、グランドツアラーとしての能力も低くはない。ただし、外界との隔離性は、もう少し高める余地はあるだろう。 8速ATは、Dポジションのままで望み通りの変速を披露。マニュアルモード時は、よりクイックな反応を求めてしまうものの、全般的に滑らかに処理される。 高速道路では、タイヤノイズが大きめで、エンジン音も小さくない。気になるなら、V6ツインターボ版を選べば、110km/h前後を静かに走れる。その条件での車内ノイズは68dB。ランドローバー・レンジローバー・スポーツSVRより、1dB大きい。 燃費は、4気筒のマイルド・ハイブリッドで10.0km/Lがうたわれ、V6ツインターボでは8.1km/L。580psのV8ウルティマは6.9km/Lと伸びないが、値としてはアストン マーティンDBX707などへ並ぶ。 レヴァンテが属する大型プレミアムSUV市場は、選択肢の幅が広がる一方。8年前より、競争は一層激しくなっている。スタイリングは魅力的で、素晴らしい歴史を持つブランドではあるが、多数の競合の中では更なる強みが備わっていてもいい。 フェラーリ由来のV8エンジンを搭載したV8ウルティマへ、強く惹かれることには納得できる。動的能力や人間工学的に、多少の妥協は存在する。それでも、目を引く存在感と相まって、強い独自性を我が物にできるはずだ。 ◯:魅力的なスタイリング V8ウルティマの熱いエンジン 華やかでエモーショナルなインテリア △:操縦性や乗り心地のバランス 設計の古さを感じさせる人間工学 限定的なエンジンの選択肢
マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマ(欧州仕様)のスペック
英国価格:16万625ポンド(約2972万円) 全長:5005mm(標準レヴァンテ) 全幅:1981mm(標準レヴァンテ) 全高:1693mm(標準レヴァンテ) 最高速度:304km/h 0-100km/h加速:3.8秒 燃費:6.9km/L CO2排出量:313g/km 車両重量:2160kg パワートレイン:V型8気筒3799cc ツイン・ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:580ps/6750rpm 最大トルク:74.2kg-m/2250-5250rpm ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
マット・ソーンダース(執筆) 中嶋健治(翻訳)