<内野聖陽>主演作で監督&脚本・大森寿美男と再タッグ 新境地? WOWOWドラマ「ゴールドサンセット」で謎の老人に
◇内野聖陽さん(阿久津勇役)のコメント
--主演が決まった時の印象。また実際に演じてみていかがでしたか。
これは、シニア世代のきらめくような瞬間がオムニバスのようになった作品です。
僕に課された役は、若い頃に犯した過ちから、まさに地獄の淵からはい上がろうとしているような男。
シェークスピアの「リア王」に自分の人生を重ね合わせ、シニア劇団で演じることで、人生の許しを乞(こ)おうとしています。非常にタフな精神のいる役だなと感じました。そして、演劇一本を立ち上げるパワーが必要な作品で、なんという挑戦的な話だろうと思いました。
人生を一度あきらめているような人物で、リアを演じることでしか、外界と接点を持てなくなっているような役なので、生きたいという思いを心に秘めて、人と交わらない緊張感が大変でした。自分は生きることを許されていないと自認している男で、リアを演じ切ることで、贖罪を果たそうとしている。こういう野心作は初めてで、なかなか大変でしたね。しかし、本当の演劇のように稽古(けいこ)を日々重ねてくださったので、シニア劇団が本当に自分のコミュニティーのように感じられるところまでなれたのはうれしかったですね。
--今まで脚本作品でタッグを組まれてきた大森さんと、今回脚本・監督でご一緒されていかがですか。
原作はありますが、シナリオ化が大森さんなので、いろんなシーンの要求がはっきりしている半面、とても深いイメージに基づいて演出されるので、理想が高く、期待に応えられたかどうか。でも感動的なシーンはたくさんあります。
普通のプロが毎晩演じる公演というより、役者を辞めた人間が一夜限りで演じる一世一代のもので、なおかつそれが、自分の罪の贖罪になっていく、そこが難しかったところですね。
--視聴者の皆様へのメッセージ
さまざまなシニア世代の生き直し、再生していこうという思いが、時に切なく美しい話だと思います。