「子持ち様」批判は大間違い! 子連れに優しい社会は「独身者」にも優しい社会だ クルマ目線で考える
「子持ち様」論争の行方
SNS上では日々新しい言葉が生まれ、ときには激しい議論の対象となる。最近、その争いに加わり、メディアでも取り上げられるようになった言葉が「子持ち様」だ。 【画像】「えっ…!」 これが40年前の足立区「竹ノ塚」です(計17枚) この言葉は「様」という敬語を付けて皮肉な意味で使われるもので、独身であることとは対照的に、子どもがいることで得られるさまざまな優遇や配慮を指している。 例えば、共働き世帯では、子どもの急な体調不良で仕事を休んだり、早退したりすることも珍しくない。このような社員のために他の社員が割を食っていることへの批判がSNSに投稿され、賛否両論を巻き起こしている。 一昔前とは異なり、結婚適齢期の男女にとって、結婚に対する社会的プレッシャーは小さくなっている。特に大都市では、 ・結婚するかしないか ・子どもを産むか産まないか についても、個人の意思を尊重する雰囲気が徐々に醸成されつつある。 しかし、子育て世帯には就労制度だけでなく税制上の優遇措置もあるため、「子持ち様」をめぐる議論はしばらく続きそうだ。 議論は白熱しているが、サービス業や飲食業などあらゆる分野で「子持ち様」の存在は無視できない。商品開発において、子連れの消費者をまったく考慮せずに商品開発を進められる業界は限られている。 特に自動車業界では「子持ち様」が大きな力を持っており、ミニバンの購入ターゲットとして重要視されている。もはや子育て家庭を無視したクルマ作りは不可能なのである。
「子持ち様」の購買力
若者や都市生活者のクルマ離れが指摘されて久しいが、子育て世帯にとってはクルマは生活に欠かせない。 内閣府の「令和6年3月の主要耐久消費財等の普及・保有状況」調査によると、乗用車全普及率は、ふたり以上の世帯、単身世帯ともに、全体では次のようになっている。 ・二人以上の世帯:80.6% ・単身世帯:51.6% このように、「二人以上の世帯」の自動車保有率は、単身世帯より約30ポイントも高い。つまり、「子持ち様」の購入意欲が高いということだ。少子化とはいえ、自動車会社のCMにファミリー向けのものがあるのは当然である。 クルマの購入を検討する際には、家族構成やクルマの使用頻度、燃費などから車種を絞り込む。子育て世帯にとって、ミニバンは日常生活で最も実用的なクルマのひとつだ。将来子どもが増えても対応できる。週末の買い物や家族でのお出かけだけでなく、友人や祖父母とのお出かけなど、あらゆるニーズに応えられる。 ミニバンの上位モデルは各社とも高価格帯だ。自動車会社にとっては“顔”のひとつとしてアピールする車種でもあり、ミニバンの新型車の登場やマイナーチェンジ、フルモデルチェンジも注目度が高い。