川口ゆかりのふたり暮らしのおしゃれレシピ「下町の魅力を感じるアンティーク散策」
「このうつわにはケーキが合うかな」「意外にアクセサリーを置いてもかわいいかも」そんなことを友人とおしゃべりしながら選んでいる瞬間は、何より楽しくて。新品にこだわる人も、中古品にロマンを感じる人も、それぞれの楽しみ方ができるのも骨董市の大きな魅力。
この日、ひときわ印象的だったのは友人が購入したフランス製のピッチャー。迷っていたら「少しお値下げしますよ~」と、気さくに店主の方が声をかけてくださり、1500円で購入。 なんでもスマホひとつで手に入るご時世だからこそ、こうやって値段交渉しながらお買い物できるのも、マーケットの醍醐味ですよね。このやりとりがたまらなく好き!
私はアンティークの着物を扱っていたお店で、和装用のバッグを購入しました。ワンコインだったので思い切って2つ! お得に買えて、ホクホク。
私にとって骨董市は、五感を呼び覚ます特別な空間でもあります。 古びたうつわや繊細なレース、経年変化を経た革製品。軒先に並ぶアイテムのなかで特に惹かれるもの、心が躍るものを見つけることで、自分の感性が少しずつ研ぎ澄まされていく。 さらに、実際に触れることで感じる感触や指先に伝わる歴史の深さは、視覚だけでは味わえない感動を提供してくれます。
香りもまた、こうした骨董市の魅力のひとつ。古書やアンティークの布地が発する微かな匂いには、過去の時代が息づいており、その香りが漂う場所に立つことで時を遡る旅をしているような気分になるのです。 視覚だけでなく、触覚の感触、嗅覚の香り──。食べ物を扱うマルシェなら、ここに聴覚や味覚が加わって五感で楽しむことができる。富岡八幡宮の骨董市は、そんな心躍る体験を提供してくれる下町の宝石箱のような場所でした。 街の喧騒を逃れ、少しだけ違う世界に足を踏み入れてみては? 骨董市のにぎわいに身を委ねながら、自分だけの一品を見つけるのも楽しいものですよ。
写真・構成/川口ゆかり