【京王杯2歳S回顧】ソニンクとシンコウエルメスの血を受け継ぐパンジャタワー 勝因は完璧なレース運び
サウジアラビアRCの価値
2着マイネルチケットは好位から前をなんとかとらえて、一旦は先頭。最後はパンジャタワーとの競り合いに屈したものの、目標になる形から粘ったのは力がある証拠だ。前半200m通過後からゴールまですべて11秒台と一定のスピードを試される舞台での好走は、珍しく前傾ラップになったサウジアラビアRCの成果だろう。 マイネルチケットの好走によって、アルテヴェローチェ、タイセイカレントの株もあがった。東京マイルの苦しい競馬を乗り越えたのは大きい。 3着ヤンキーバローズはパンジャタワーより後ろから追い込んできた。上がりは同じ33.8なので今回は完敗だった。だが、直線では残り400mを過ぎても進路がなく、内に外に抜け出す道を探したため手間取った。先に仕掛けたヒシアマンをとらえており、一定の力は出せた。もう少し流れに乗り進路を選べるようになるなど、自力で動けるようになれば2勝目は近い。 1番人気4着ヒシアマン、2番人気8着エイシンワンドは馬場に力を削がれた印象だ。どちらも走りのバランスが悪く、道悪への対応力の差が出た。特にエイシンワンドは行きっぷりも悪く、全体的に自分の力を出していない。良馬場で見直したい。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳