宮沢りえ × 佐藤二朗 中村佳穂の楽曲から着想を得た舞台「そのいのち」で表現する“生命への讃歌”
俳優、脚本家、映画監督など、多彩な才能を発揮して活躍する佐藤二朗。12年ぶりに書き上げた舞台の新作戯曲「そのいのち」の公演が11月9日からスタートする。同作は、ミュージシャンの中村佳穂の同名曲からインスパイアされたもので、介護ヘルパーが障がいを持った新しい雇い主との交流を通じて、次第に変化していくという物語だ。ヒロインの山田里見を演じるのは宮沢りえ。いつか佐藤と共演したいと思っていた宮沢は、脚本を読んで衝撃を受けて出演を快諾した。ハンディキャップを持ちながら俳優として活躍する佳山明、上甲にかがダブルキャストで出演することでも話題を呼んでいる本作について、舞台初共演となる佐藤と宮沢に話を訊いた。 【画像】宮沢りえ × 佐藤二朗 中村佳穂の楽曲から着想を得た舞台「そのいのち」で表現する“生命への讃歌”
楽曲「そのいのち」を舞台化した理由
――本作は中村佳穂さんの同名の曲がきっかけで生まれたそうですね。
佐藤二朗(以下、佐藤):妻がすすめてくれたんです。それで曲を聴いて「ぐわーん!」ときたんですよ。歌から物語が浮かんだというより、この歌が流れる物語を書きたいと思ったんです。
宮沢りえ(以下、宮沢):二朗さんのそういう気持ち、分かるような気がします。役者をやる時の原動力も自分から出てくるものだけじゃなくて、いろんなものに影響を受けることが多々あるんですよ。例えば、時代劇をやっている時に、着物を着たままハードなロックを聴いて元気を出す時もある(笑)。具体的な理由がなくても、自分が触れたものによって突き動かされる、何か創作の火種になることってあるんですよね。
佐藤:そうなんですよ。曲の歌詞の意味はよく分からなくて、いろんな解釈がされているみたいですけど、「いけいけいきとしGO GO」というサビの歌詞を聴いた時、生命への讃歌だな、と受け取ったんです。だから、生命への讃歌になるような物語を書こうと思いました。ただ、そこで明るいことばかりじゃない現実。人間のちょっとドス黒い部分とか、そういうのを描かないと生命への讃歌にはならないとは思いました。