モルドバ大統領選、親欧米派の現職が当選 EU欧州委長ら祝福
東欧の旧ソ連構成国モルドバで3日、大統領選(任期4年)の決選投票があり、即日開票された。親欧米派の現職サンドゥ氏が親ロシア派の候補を破り、当選を決めた。欧州連合(EU)加盟への賛否が問われた10月の国民投票に続いて親欧米路線が支持された形で、影響力を保ちたいロシアと現政権を支持する欧米の対立も激しくなると予想される。 【写真まとめ】ウクライナ侵攻2年 戦禍の風景 中央選管によると、現地4日午前(日本時間4日夕)時点の開票率は99%超で、サンドゥ氏の得票率は約55%に達した。親露派政党の後押しを受けたストイアノグロ元検事総長の得票率は約44%だった。暫定投票率は約54%。サンドゥ氏は首都キシナウで記者団に「あなたたち全員のための大統領になると誓う」と勝利を宣言し、国内融和を目指す姿勢を示した。 サンドゥ政権を支援してきたEUのフォンデアライエン欧州委員長は「モルドバの欧州での未来に向けて引き続き協力できることをうれしく思う」とX(ツイッター)に投稿。ウクライナのゼレンスキー大統領や独仏などの首脳も祝意を示した。 国民投票は10月20日にあり、僅差でEU加盟が支持された。同時に実施された大統領選では、サンドゥ氏が得票率で首位になったが過半数には達せず、次点のストイアノグロ氏との決選投票に進んだ。 2020年に発足したサンドゥ政権はロシアがウクライナに侵攻した直後の22年3月にEU加盟を申請。その後も親欧米路線を加速させた。ストイアノグロ氏は、EU加盟自体は目指すものの、ロシアとの関係修復にも意欲を見せていた。 モルドバはウクライナとの国境沿いに親露派勢力が実効支配する未承認国家を抱える地政学上の要衝。ロシアが国民投票と大統領選に買収や偽情報の拡散で介入した疑いが持たれている一方で、欧米は経済支援を強化して対抗していた。 10月の投票について、サンドゥ氏はロシア側が人口の1割を超える30万人を買収しようとしたと非難していた。決選投票でも組織的な大規模動員などが疑われている。2期目に入ってもサンドゥ政権とロシアとの対立は先鋭化しそうだ。 これで親欧米派は国民投票と大統領選のいずれも制したことになるが、親欧米派の支持者が多い国外からの投票が大きく貢献した。物価高などで地方を中心に現政権への不満を持つ有権者もおり、来夏に予定される議会選挙で与党が過半数を維持できるかが次の焦点となる。【ブリュッセル岡大介】