「プーチンをクマの襲撃から守った」プーチン“終身大統領”が最も信頼する“後継者”の正体とは
長期独裁体制を続けるロシアのウラジーミル・プーチン大統領(72)は、2024年3月の大統領選で87%の得票で圧勝し、5期目に入った。選挙は不正の多い茶番劇だったが、政権はウクライナ侵攻の戦時下で、国民の圧倒的支持を演出したかったようだ。 【写真】この記事の写真を見る(3枚) プーチンが5期目を全うすれば、在位30年になり、スターリン(29年)を抜いて20世紀以降のロシアで最長在任の指導者になる。憲法規定では、プーチンは36年まで2期12年の続投が可能で、事実上の終身体制に入った。
4度も任期延長を続ける理由
2000年に巡り合わせで大統領に就任したプーチンは当初、旧憲法規定に沿って2期8年で退陣する意向だった。プーチンは当時、ドイツのコール元首相を念頭に「16年も続けば、国民はうんざりする」と酷評していた。「私は絶対に任期延長しない」と強調したこともある。 その後、欧米との関係悪化や反体制派弾圧など権威主義体制への移行を経て、権力を手放せなくなってしまった。退陣すれば、後継政権から刑事訴追を受ける恐れがある。ウクライナの子供連れ去りで国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を出された事情もある。独裁体制の帰結として、権力にしがみつくしか選択肢がなくなったのだ。プーチンに近いエリート層も、後継政権によっては、利権を失うばかりか、訴追される恐れがある。大半のエリートにとって、プーチンは安定の象徴であり、続投を求めている。 プーチンは同時に、長期政権の口実となる歴史的偉業を重視している。5期目の就任式で、「ロシアは偉大な民族であり、あらゆる障害を乗り越え、すべての計画を実現する」と訴えた。「すべての計画」には、ウクライナ戦争に勝利し、旧ソ連地域で失地を回復して勢力圏を拡大することが含まれているようだ。 24年6月の外交演説でプーチンは、ウクライナ戦争の停戦条件として、南東部四州の完全併合やウクライナの非ナチ化、中立化を改めて要求した。「人工国家」とみなすウクライナを事実上解体する野心を崩していない。