「プーチンをクマの襲撃から守った」プーチン“終身大統領”が最も信頼する“後継者”の正体とは
ベラルーシ併合の可能性も
プーチンは「この戦争に負けるなら、1000年に及ぶロシアの歴史の終焉を意味する」と述べたこともある。負けず嫌いのプーチンは、容易には和平に応じず、勝利とみなすまで戦い続けるだろう。
プーチンはウクライナだけでなく、ベラルーシの併合を狙っている可能性もある。23年2月に欧米に流出したクレムリンの機密文書は、プーチン政権が30年までにベラルーシを併合する計画をうたっていた。 「ベラルーシでの戦略目標」と題したこの文書は、政治、軍事、外交、経済、文化の各分野で両国の統合を進め、プーチンの5期目が終わる30年までに併合を完了するとしている。今後、単一通貨や税制の統一、ロシア化教育、防衛政策の統合を段階的に進め、ベラルーシを統合する内容だ。 その場合、ロシアによるベラルーシの吸収合併となり、ルカシェンコ大統領は、「知事」に格下げとなる。ルカシェンコはこれを恐れてロシアの統合圧力に抵抗してきたが、25年夏にはベラルーシ大統領選が予定される。20年の前回大統領選は、選挙不正に抗議する大規模な反政府デモが発生し、ルカシェンコは危うく失脚するところだった。次回大統領選も波乱が予想される。 ロシアにとって、ベラルーシに親欧米政権が誕生すれば、ウクライナ以上の衝撃だ。それを阻止するため、一気にベラルーシ併合を画策する可能性がある。プーチンは21年に発表した論文で、ロシア、ウクライナ、ベラルーシを「三位一体のロシア民族」と称し、ウクライナ侵攻の理論的根拠とした。ベラルーシ全体とウクライナの一部を併合することで、「新ロシア連邦」の創設を狙うかもしれない。 旧ソ連地域には、ジョージア領のアブハジア自治共和国や南オセチア共和国、モルドバ領の沿ドニエストル共和国という親露的な帰属未定地域が存在する。これら3地域は分離独立を目指し、ロシア軍部隊が駐留する。プーチンは5期目に、ウクライナの一部とベラルーシに加え、3地域を一気に併合し、「ミニ・ソ連」の結成を図る可能性もある。それによって、1991年のソ連邦崩壊の屈辱を払拭することができる。ロシアの失地回復という地政学的サプライズが、プーチン長期政権の野望かもしれない。