尹大統領「亡国の危機を知らせ、憲法秩序を回復するためだった」…内乱罪に当たらないと主張
【ソウル=小池和樹】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は12日午前、国民に向けた談話を出し、3日夜の戒厳令について「大統領の高度な政治判断だ」と述べ、内乱罪に当たらないとの考えを示した。「私は弾劾(だんがい)だろうが捜査だろうが、堂々と立ち向かう。最後まで国民の皆さんと一緒に戦う」として、野党主導で自身への弾劾が成立しても戒厳令宣布の適法性を訴えていく構えを示した。 【動画】銃身をつかみ、国会突入阻止を図る女性
尹氏は戒厳令宣布後、7日の弾劾訴追案採決直前に国民に謝罪する談話を発表したが、戒厳令を宣布した理由などを詳しく説明するのは今回が初めて。尹氏が談話を読み上げる様子がテレビを通して発表された。
尹氏は談話で、野党が国政運営を妨害していることを国民に知らせることが戒厳令の目的で「亡国の危機を知らせ、憲法秩序を守り、回復するためだった」と正当化した。最大野党「共に民主党」が政府高官や検事らへの弾劾を連発してきたことなどを「法秩序を崩すためのもので、国政をまひさせた」と批判し、「自由民主主義の憲政秩序の崩壊を防ぎ、国家機能を正常化するため」、戒厳令宣布の検討を始めたと述べた。
また、昨年後半に選挙管理委員会などに北朝鮮の関与が疑われるハッキングがあったものの、選管が情報機関の調査を拒否したと主張した。戒厳兵は選管庁舎にも投入されており、選管のシステム点検が今回の戒厳令宣布の目的の一つだったとした。
戒厳令の宣布については、尹氏と金龍顕(キムヨンヒョン)前国防相(内乱容疑などで逮捕)だけで議論し、政府高官や閣僚らには宣布の直前に伝えたと明かした。
警察や検察が尹氏を内乱容疑の対象として捜査を進めている点については、戒厳令宣布が「大統領の憲法上の決断で、司法審査の対象にならない統治行為だ」と主張。投入した兵力も「秩序維持のための少数だった」とし、長期間の国会掌握は考えていなかったと話した。