菓子づくりに規格外野菜 食品ロス削減 北海道・函館 「SDGsに関心持って」
北海道函館市の食品製造「カドウフーズ」が、規格外の野菜を使った菓子づくりに取り組んでいる。食品ロス削減が狙いで、倉庫の室温を電気を使わず雪を活用するなどして管理する地球温暖化対策も実施。商品は観光土産になり、嘉堂聖也社長(46)は「お菓子を通じ、子どもたちに持続可能な開発目標(SDGs)に関心を持ってもらえたら」と話す。(共同通信=瀬尾遊) 2010年の創業当初から、看板商品は函館市に近い厚沢部(あっさぶ)町で生産されたサツマイモ「黄金千貫」のスイートポテトと、生クリームを薄い餅で包んだ「はこだて雪んこ」。芋は規格品に加え、いびつな形や、大きさがふぞろいなものも使う。 北海道農業協同組合中央会(JA北海道中央会)によると、農作物は取引の効率化のため、生産エリアごとに品質や大きさの規格を定めている。規格外品は加工用や自家消費に回されるほか、畑にすき込んだり廃棄したりする場合もある。
嘉堂社長は以前、実家の包装資材会社に勤めていた際、取引先から「北海道でもサツマイモを育てるようになったが、余っている」と聞いた。 「規格は人間が勝手に決めたもの。味は変わらない」。起業後は規格品とほぼ同水準の値段で買い取るなどし、積極的に使う。サツマイモ以外にカボチャやジャガイモも仕入れ、これまで計千トン以上を有効活用した。 食材の保管倉庫は断熱材を吹き付けたほか、冬季は雪も使って室温を管理。夏は10~15度、冬は2~5度に保つことができるといい「環境にも財布にも優しい仕組み」と胸を張る。 はこだて雪んこは昨年、脱炭素社会の実現に貢献する食品として北海道から表彰された。今年も規格外品を丸ごと加工した「ちいさい焼きいも」で2年連続受賞。嘉堂社長は「港町・函館で水産物に代わる名物を育て、地域を盛り上げたい」と語る。