最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
スズキの「ものづくり」最前線
ここ数年、スズキのデザインが変わってきている。 古くから「GSX」はスズキのスポーツバイクの重要な柱となるモデルだが、今日のGSXシリーズはフロントフェイスが共通化され、異なるプラットフォームであってもGSXとしてのアイデンティティを持たせようとしているようだ。 さらにスズキは2024年モデルとして、GSXシリーズにGSX-S1000GXとGSX-8Rの2車を追加。バリエーションをますます拡大している。 【画像14点】GSXシリーズ、ハヤブサ、Vストロームシリーズ……最新スズキ車のデザインを比較! GSX-S1000GXは998cc並列4気筒、GSX-8Rは775cc並列2気筒という、まったく異なる排気量・形式のエンジンであるほか、クロスオーバーとフルカウルスポーツとカテゴリーの違いを見るまでもなく、それぞれのキャラクターの違いは明白だ。 だが、どちらもプラットフォーム展開から生まれたモデルという点は共通だ。 そこで当記事では「デザイン」と「プラットフォーム」について、GSX-S1000GXとGSX-8R開発陣へのインタビューを通して「スズキが目指すもの」に迫っていく。
プラットフォーム展開のメリットと難しさ
プラットフォームとは、エンジンとメインフレームなどを共通化し、キャラクターが異なるモデルを作り、広げていくための手法だ。たとえば、GSX-S1000(ネイキッド)、カタナ(ネオクラシックスポーツ)、GSX-S1000GT(オンロードツアラー)、GSX-S1000GX(クロスオーバー)の4種は、エンジンとメインフレームを共通としていながら、異なるカテゴリー、違うキャラクターのバイクに仕立ててそのバリエーションを広げている。 そして、GSX-8R(フルカウルスポーツ)は、GSX-8S(ネイキッド)、Vストローム800/Vストローム800DE(アドベンチャー)と、エンジン/メインフレームを共通とするプラットフォームモデルである。なお、これら「800シリーズ」は4機種同時に開発が進められ、モデルバリエーションのキャラクターづけや走行性能をよりバランス良く仕立てることができたという。 プラットフォームのメリットは、まずエンジンとフレームの開発コストを低く抑えられることにある。結果として、電子制御デバイスの開発や、それぞれのキャラクターに合った個別装備にリソースを割けるようになるだけでなく、車両価格を抑えられる利点が大きい。 デメリットとしては、たとえばVストローム800DEとGSX-8Rのように、オフロードも走れるアドベンチャーと、サーキット走行も楽しめるオンロードスポーツでは、求められる車両特性がかなり異なる。そのため、とくに車体設計に細心の配慮が必要になることだ。 ひとつの例としてフロントホイール径を見ると、Vストローム800DEが21インチ、Vストローム800が19インチ、GSX-8S/8Rは17インチである。もちろんキャスターとトレール量、フロントフォークのストローク長も異なる。そのため、GSX-8S/8Rでは一般的なオンロードスポーツと比べて、前輪とエンジンの距離が長く、かなり間隔(クリアランス)がある。