最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
最新スズキデザインを貫く「GSX-R DNA」
GSX-8S/8Rについて、遠藤さんはそのデザインコンセプトを「ネクストジェネレーション・スズキスポーツバイクスタイリング」と話す。 「800ccフルカウルスポーツはスズキとして初めての挑戦です。どうあるべきかという議論の結果、コンセプトはスズキスポーツバイクのDNAを受け継ぎ、さらに進化させることでした。それはやはり『GSX-R』である、と考えました。センターヘッドライトの両脇に配置したエアダクト、それを再解釈することです。それが『GSX-R DNAフェイス』です」 エンジンやシャシーだけでなく、外装デザインも8Sと8Rは同時に開発が進められた。そして遠藤さんは、この2車を「双子の姉妹」と表現した。兄弟ではなく姉妹としたところが興味深い。今回は残念ながらその真相を尋ねる時間がなかったが、もしも機会があったらぜひ伺ってみたい。 GSX-R DNAフェイスは、GSX-Sシリーズにも800シリーズにも色濃く反映されている。さらにいえば、縦型2灯ヘッドライトはGSX-R125/S125、Vストローム650/XT、アヴェニス125にも採用されている。 「現行モデルにはかなりこのヘッドランプを使っていまして、スズキのイメージとして作っています。将来的には違う方向性になるかもしれませんし、あるいは進化を重ねていくかもしれませんが、現段階においてはこれがスズキの顔、イメージと捉えてもらっていいです」 そう話す遠藤さんは、2017年からおよそ3年間、イタリアにある欧州デザインスタジオに在籍していた経験を持つ。そのとき、スズキのデザインに対する見方がに変化があったという。 「8Rなどの機種もその時期にスケッチを描いてたのですが、一番の気付きは国外から見るスズキのイメージの変化でした。国内にいると『鈴菌』という言葉に代表されるように、ちょっとこう……おもしろい感じで語られることが多いんです。だけど、外側から見ると、スズキのバイクって非常に格好良くて、改めてスズキというブランドを捉え直すいい機会になりました」