最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
その点について、GSX-8Rのデザインを担当した遠藤勇太さんはこう話す。 「まず、デザインの初期段階で、4機種を想定したレイアウト線を引いています。もちろんそれですべてがうまくいくわけではありません。Vストロームに合わせる部分だったり、8Rに合わせる部分も当然出てきます。エンジンとタイヤのクリアランスが広いのはプラットフォームの宿命で、これはアドベンチャー(Vストローム)由来になっています。しかしそれをマイナスと捉えるのではなく、プラスの方向へ転化するよう、スタイルを昇華させることを目指しました。 具体的には、8Rを正面から見ていただくと分かりやすくて、前面投影面積がかなり細く見えるようにデザインしています。つまり、エンジンとタイヤの距離が近い場合、そこまでカウルで覆わなければならなくなるため前面投影面積が太く(広く)なってしまうのです。8Rではそれを逆手にとってカウルの前方を細く絞り込めたことで、スタイリングとしても格好良くすることができました」 一方、プラットフォームとはやや話が異なるが、GSX-Sシリーズは縦型2灯ヘッドライトを中心に、エアダクトとポジションランプを左右対称に配置するフロントフェイスで統一している。今でこそ車名からGSXが外されているが、このデザインはハヤブサも同じだ。 800シリーズは、六角形のLEDヘッドライトを縦に2灯配置するデザインを共通としている。GSX-8Sではポジションランプをヘッドライトの左右に配置することで、GSX-Sシリーズ同様のフロントフェイスを作り出している。また、GSX-8Rはポジションランプこそ縦型2灯ヘッドライトの上部に配置しているが、ヘッドライトを中心に大きなエアダクトを設け、GSXであることを明確に打ち出している。 これはVストローム800/DEもそうだし、Vストローム1000/DEとカタナも同様だ。Vストローム1000/DE、そしてカタナの場合、一見しただけでは角型1灯に見えるデザインだが、ハイビームとロービームを縦に2灯並べる構造となっている。