戦後体制が崩れて世界は「大乱」~資産も大事だが、変化に対応できるのは人間だけだ
歴史的な覇権の移行
それではなぜこのような「大乱」がやってきているのか? それを読み解くには「戦後体制(システム)」というキーワードが必要不可欠である。 現在の世界の基本的枠組みは、1945年の第2次世界大戦終結後に構築された。 そして、その戦後体制は、米国を中心とする「戦勝国」主導であったことは紛れも無い事実だ。特にGHQによって1952年までの約7年間も占領された日本の社会は、憲法を含めて米国という「戦勝国」が構築したまま、現在まで続いていると言っても過言では無い。 大多数の日本人が、第2次世界大戦の敗戦後に生まれているから、米国が構築した「戦後体制」を当たり前のものと受け止めている。しかし、もちろんそれは「当たり前」ではない。 例えば、戦後GHQが押し付けた「すべて日本が悪い」という自虐史観はもちろん誤りである。5月21日公開「『日本のことが嫌い」な米民主党とどのように付き合うべきか」3ページ目「日系人の『財産没収』『強制収容所送り』」、4ページ目「原爆・空襲による『大量虐殺』」で述べたように、自虐史観で封印されていた「真実」がオープンに論じられるようになってきた。 日本以外の世界においてもそれは同様である。戦後、ソ連という対抗馬は存在したものの、1989年~91年にかけてのベルリンの壁崩壊やソ連邦崩壊などによって、米国の一極支配が固まった。 それ以来、おおよそ35年にわたって「ジャイアン・アメリカ」の世界支配が続いてきたのだ。しかし、平家物語の冒頭を持ち出すまでも無く「盛者必衰」は普遍的原理である。 前記「アメリカン『ドリーム』と『ナイトメア(悪夢)』の落差、『夢』を与えられない人々の怒りが爆発する」、昨年11月23日公開「米国はなぜ、いつも『戦争』に負けるのか~サイバー戦、情報戦の時代は不利?」、昨年10月17日公開「米国型弱肉強食モデルの終焉、『万引き天国』と21世紀の『アヘン戦争』」などで述べた厳しい現実が米国に突き付けられている。 逆に、これまで「ジャイアン・アメリカ」に押さえられてきた「世界中の国々」が、自らの立場を主張し始めた。昨年9月6日公開「サウジアラビア・イラン参加『本当の衝撃』…エネルギー覇権を握る『拡大BRICS』中心で、世界は『脱欧米』に向かう」、同6月27日公開の「世界が『西欧主導』から『非西欧の時代』へと向かうとき、日本人は『名誉白人』のままでいいのか?」同3月19日公開「中国の仲介でイラン・サウジ関係改善、世界は米国抜きで回り始めた」などで述べた通りである。