親の“声かけ”で理系が苦手な子になってしまう!? 遺伝よりも影響のある「親の刷り込み」とは【中学受験のスペシャリストがズバリ回答】
子どもの文系理系は遺伝で決まってしまうのだろうか? 幼児期にできる親の心構えはなにかあるだろうか?など子育て世代のママたちから寄せられた、子どもの教育に関する悩みや不安。 【こちらも話題】「頭のいい子には3タイプいる」教育のプロが明かす、偏差値65以上の“成績トップ層”の実態 今回は中学校受験理科のスペシャリストであり、その指導は「知らない間に理科が得意になる」「いつの間にか理科が大好きになっている」と話題の、辻義夫先生にお話を伺いました。
理系・文系は遺伝?幼児期の環境や教育の影響はある?
いわママ:理系や文系というのは遺伝で決まっているものなのでしょうか? 辻義夫(以下、辻):遺伝的要素がないかと言われると、顔や形が親子で似るようにゼロではないです。ただ、一番影響があるのは親御さんの刷り込みですね。理系が苦手な親御さんが『あなたは算数が苦手だよね』などと声かけしてしまうと、お子さん本人が算数できないという自己認識になってしまいます。 また、子どもは身の回りの数字など勝手に学んでいく側面もありますが、周りの大人が幼児期・低学年の頃に数字の概念などを伝える、などの種まきをある程度できるかどうかが大きく影響しているのではと思います。 私はよく、足して10になるという、10の補数の話をします。もちろん学校に上がると学ぶことなのですが、繰り上がりの計算をする際に高学年でも指が出てしまう子が多いんですよね。 ご家庭でも親御さんが7!と言うと、お子さんが3と答える、というようなゲームを取り入れてみるといいですね。自分事となるとお子さんは夢中になるので、自分事にすることが大切です。ご家庭の力は大きいですね。 いわママ:10の塊の概念や量的な感覚を小さい時から養うことは大事ですよね。そのために親御さんが日常のなかで声掛けできているかが影響しているんですね。
なんでだと思う?と聞かれるとフリーズする・わからないと答える
いわママ:なぜなぜ期という言葉があるように、子どもは「なんで?なんで?」と聞いてきますよね。そのときの回答として育児本などにはよく「『なんでだと思う?』と聞くいい」とよく書いてあると思います。 ただ、実際に聞き返すと子どもは「わからない」と答えたり、フリーズしてしまったりする子も多いと聞きます。そういう子に対してどう対応したらいいなどはありますか? 辻:フリーズしていると親御さんには見えていても、お子さん本人は違う可能性があります。「フリーズして何も考えていない」というところをまず疑いましょう。 もう少し簡単な問いかけをしてあげると、思考が一歩前に進めるかもしれません。特に幼児期のお子さんは、まだ自分の心の動きを思い出せるほど発達しておらず、複雑なことを考えられません。 応答がなく、お子さんがフリーズしてしまうと親御さんは焦る気持ちもあるでしょうが、ゆったりと構えてアプローチしてみてください。 いわママ:親の気持ちとしては『何か答えてほしい!』と思いますが、子ども自身はわからないから考えていないのではなく、その子なりに考えてはいますが、どのように答えていいか、どのように考えていいのかが分からない状態がフリーズに繋がっているのかもしれませんよね。 『これはどう?思い出してみて』や『ママはこう思うよ』など答え方や考え方のヒントを、お子さんの頭に蓄積していくことが大切なんですね。 次回は、外遊びの必要性や、国語が苦手な理系の子におすすめの学習法、幼児期に心がけたい親の行動についてお話を伺います。