小泉純一郎元首相は「殺されてもいい」覚悟で“刺客”を放った…裏金議員「非公認」も「当選すれば追加公認」で石破首相、進次郎氏に問われる本気度
郵政解散との落差
裏金議員の公認と非公認を巡る問題で、「自民党には毅然とした態度が感じられない」と首をひねっていた有権者も多いだろう。そのの違和感には、やはり理由があったのだ。 しかしながら、たとえ基準が曖昧であり、たった12人の非公認といえども、小泉選対委員長が「厳しい対応を主張」(時事通信:10月7日)した結果だとの報道は少なくなかった。 ここで思い出すのが、父親の小泉純一郎元首相だ。彼は2005年8月、衆議院を解散した。いわゆる「郵政解散」だ。 「8月8日、参議院本会議で郵政民営化関連法案が否決されました。首相だった小泉氏は否決の場合、衆議院を解散すると明言していました。実際に否決されたことで緊急の自民党役員会を開催し、衆議院で反対票を投じた自民党の議員は全員非公認とし、民営化に賛成する対立候補を擁立するよう指示したのです。この『自民党の造反議員を落選させるために立候補した自民党の新人候補』は後にメディアから“刺客”と呼ばれ、総選挙が異常なほどの関心を集めた大きな理由の一つとなりました」(同・記者)
郵政解散への違和感
伊藤氏は1998年から民主党に勤務し、事務局長を務めた後の2001年12月に退職した。著書『政党崩壊』(新潮新書)を上梓したのは03年7月。小泉氏が衆院を解散した05年8月の時点では、既に政治アナリストとして活動していた。 「小泉さんが衆院を解散するという第一報を耳にした時、『論理的に無理がある』と思いましたし、『この解散は憲法に違反しているのではないか?』との疑問を持ちました。関連法案を否決したのは衆院ではなく参院ですから、衆院を解散する根拠にはなりません。天皇陛下が国事行為として衆院を解散する7条解散は、時の政権が恣意的に利用すれば憲法に違反するとの指摘は昔からあり、今回の石破内閣での解散でも同じ議論が起きました。おまけに解散後、小泉さんは郵政民営化の是非を問うという、文字通りの“ワン・イシュー”(単一争点)で総選挙を行うと明言しました。これでは政党の存在意義が揺らいでしまいます」(同・伊藤氏) 政党に所属する議員は、国家観や支持基盤といった大きなビジョンを共有して連帯するものであり、個別の政策は議員ごとに意見が異なるのがむしろ普通だ。