事故対応から中古車の信頼回復にも効果的!な新たな取り組み始まる。一般ユーザー向け「EDR体験会」で学ぶ、事故履歴データ活用のメリットと大切さ
自動車の総合病院から始まる「安心感向上」への取り組み
ビッグモーターの不正発覚から始まった、中古車に対する信頼性確保の問題。業界全体にその影響は波及しているようです。そんな中、わかりやすい信頼性を担保するための新しい取り組みが、セールスの現場から始まりつつあります。ポイントは「修復歴なし」だけでなく「事故履歴なし」という、新しいガイドライン。安心、安全につながる顧客サービスに関する新たな取り組みを、取材してみました。 【写真はこちら】フェアなどを通じて中古車の信頼性を高めるだけでなく、マイカー点検など顧客への安全啓蒙活動も実施(全6枚) 取材に伺ったのは、埼玉県北葛飾郡杉戸町に拠点を構える株式会社 杉戸自動車(代表取締役社長 泰楽秀一氏)。新車や中古車の販売とともに「自動車の総合病院」を謳い、車検や日常点検、キズ凹みや事故などの修理、コーティングからバッテリー上がりまで、クルマのコンディションを正しく保つためのさまざまなサービスを提供しています。 とくに注目したのが、オフィシャルホームページに記載された「当店の中古車に事故車はありません」という一文でした。エビデンスとして杉戸自動車が活用しているのは、BOSCHのシステムを利用したEDR(Event Data Recorder)データです。 エアバッグなどの展開を伴うような強い衝突を受けると、車載の記録装置であるEDRに事故時の衝突状況だけでなく、衝突直前の運転状況、走行状況などが記憶されます。専用のツールとアプリを使ってレポート化すれば、見えない部分に加わった衝撃や破損などを把握することが可能になります。 杉戸自動車では、仕入れた車両でEDR読み取りに対応した車種については、ボッシュが提供するCDR(クラッシュデータリトリーバル)によって検査しその情報を顧客に開示、万一そこに事故と思しき衝撃が加わった場合には販売をしない、とのこと。 一般的に中古車の安心感を担保する「修復歴なし」というガイドラインだけでなく、客観的な数値に基づく「事故歴なし」という証明は確かに、中古車に対する信頼性を高めることにつながりそうです。
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