ネパール“見捨てられた被災者” 地震から半年も来ない支援金 家族も家も仕事も失い…【FNSチャリティキャンペーン2024】
届かぬ支援金「私たちは見捨てられたんです」
別の日、雨が降ると土砂崩れが起きることもあるという、別の被災地を訪れた取材班。そこに、今も住み続ける人と出会いました。 スシラさん、65歳。地震によって、あらゆるものを失いました。 スシラさん: もともとは2階建ての家でした。土砂が崩れてきて、屋根がつぶされたんです。 地震直後に起きた土砂崩れが、屋根を直撃。スシラさんはなんとか九死に一生を得ましたが…。 スシラさん: 息子夫婦と、孫が2人、亡くなってしまいました。 息子が亡くなって、誰ひとり助けてくれる人はいません。誰でも良いから早く助けてほしいです。息子がいれば家を建て直してくれたかもしれませんけど、私も歳をとっているのでどうすることもできません。 倉田アナ: お母さんのように、つらい思いをされている方がたくさんいると思います。どういうことを望まれていますか?どういうふうにしてほしいですか? スシラさん: 国が地震の支援金を出してくれると言っていますが、半年たってもいまだにもらえていません。私たちは見捨てられたんです。 ネパールの場合、地震の支援金として、日本円で約6万円を2回に分けて配られる予定ですが、スシラさんは、1回目の支援金すらもらえていないといいます。 なぜ支援金が被災者の元へわたっていないのか、その理由を知るべく、ジャジャルコット郡庁舎に向かった取材班。しかし、そこで見たのは、行政を統括する場所とは思えないほど、崩れてしまった建物でした。 倉田アナ: 2階部分の屋根が完全に崩れ落ちてる…。 なんとか業務はこなせているといいますが、職員によると支援金の支給が遅れている理由は、意外なものでした。 郡庁舎職員 カダック・ビーシーさん: 正直、なぜなのかわかりません。政府から支援金が届いていないんですよ。早く対応してほしいですね。 20万人に上る被災者への支援金が、“政府から届いていない”という職員。 ベテランのジャーナリストは、その原因を「国にお金がない」ことだと話します。 ジャジャルコット記者協会元会長 ジャナック・ケーシーさん: とにかく、国にお金がないんです。災害対策に十分に予算があてられない現実があります。ネパールは自然災害が多すぎるんです。 実際に、首都・カトマンズでも、道路に設置された信号機は全く付かないものがほとんど。電力が不足しがちで、店が停電したまま営業することも日常茶飯事だといいます。 2015年に発生したマグニチュード7.8の巨大地震の際には、約100万棟の建物が全半壊したものの、支援金の支給は1年以上ったっても対象の0.1%程度の世帯にしか行き渡りませんでした。 ジャジャルコット記者協会元会長 ジャナック・ケーシーさん: 政府は本気で補償するつもりがありません。自治体も、国に強くは言いません。だから皆、怒っているんです。「見捨てられた」と。 世界遺産に登録される歴史的建造物が建ち並ぶ、風光明媚な国の顔の裏には、ひとたび被災すれば貧困から抜け出せない、過酷すぎる現実がありました。 (めざまし8 6 月25日放送)
めざまし8