ヒトは「見た目」「血管」「耳」とともに老いるって?抗加齢研究トップランナーに聞く「老けない身体」の作り方
なぜコレステロールと血圧に注意すべきなのか?ポイントは毛細血管です
「高コレステロールと高血圧はじわじわと寿命を縮める、サイレントキラーと呼ばれます。検査の機会があれば、血管年齢検査も受けてください。中でも毛細血管の状態を調べると、悪い人は50代でもかなりゴースト化と呼ばれる状態になっています。毛細血管はある程度長さがあり、まっすぐ伸びて周囲のにごりがないことが理想ですが、お酒を飲む人は悪くなる傾向があります」 毛細血管は身体の末梢部まで血液を通じて酸素と栄養を送り届け、また不要なものを運び出す役割を担います。毛細血管に元気がなければ栄養が届かないうえ、不要なものも排出されないため、老化がどんどん進むというわけです。ちなみにまで、更年期世代の女性は貧血と戦っているケースも多いのですが、貧血は血管の老化に対してはどうなのでしょう? 「貧血は血管の老化にはプラスにもマイナスにも働きません。血圧が低い場合はプラスに働くものの、貧血を放置して日常生活に問題が出る人も多いのです。たとえば、ヘモグロビンは通常14程度のところ、身体がしんどいと外来にきた人が7や8ということがよくあります。ヘモグロビンがないと酸素を運べないので当然息苦しくしんどいでしょう。血管老化とは別の大問題が起きているため、治療が必要です」 血管からの老化を食い止めるためにまず大切なのは、心臓から出る大きな血管が元気であること。そこを元気にするためにまず大切なのは、血圧の管理。血圧は低いほうが血管の老化を進めず、老化しにくく長生きにつながります。高い人は注意を。また、コレステロールは、悪玉LDLがゴミを溜め、善玉HDLが掃除をします。LDLが200まで上がるとHDLが70あっても悪玉の働きが勝ります。また、溜める悪玉が善玉の2倍を越えるとゴミが溜まりやすくなるので薬の治療も必要になります。 「投薬治療の手前では、食事やサプリでの対策も有効です。例えば、紅麹は悪玉コレステロールを下げます。紅麹の入ったお米やパンもいいでしょう。血糖値は上がらないほうがいいため、運動習慣をつけて血糖値があがらないようにします」 食後に血糖値がどんと上がる「血糖スパイク」が血管を傷めるため、野菜から最初に食べるベジタブルファーストの習慣も大切。また、全体的な血糖値を上げないようカロリー調整も行います。同時に朝をしっかり摂り、セカンドミール、つまりその日の2回目の食事以降の血糖値の上がり方を下げます。 「日本では食事を朝昼晩3回で摂取する習慣がありますが、これがいちばん健康な状態を保つとわかっていてこうなったのだと思います。現代人の悪習は夕食にウエイトを持っていくこと。理想は朝が多く、昼が中くらい、夜が少ない3食で、私はこれを実行して10㎏やせました。飢餓時間を作りすぎると身体はなるべく脂肪を蓄積しようとするので、1日1食はダメです。よく絶食に近い人がいますが、まったく覇気がなく、実際そういう人は血管も元気がありません」 ここまでの前編記事では「老い」と「血管」についてご説明いただきました。後編記事では「見た目」「耳」についてお聞かせいただきます。
オトナサローネ編集部 井一美穂