【医師解説】Dragon Ash・Kj(降谷建志)が発症した「パニック障害」の症状・原因・対処法とは?
ロックバンド「Dragon Ash」のボーカル、Kj(降谷建志)さんがパニック障害の診断を受けたことを、11月2日(木)に同バンドの公式HPで公表。それに伴い、ライブハウスツアー5公演の開催延期も発表されました。 Kjさんは8月中旬から胸痛やめまいなどの不調を訴えており、担当医師の判断と本人の意思を考慮しながらライブ活動を続けていました。しかし、「不調はパニック障害が起因している」との診断結果となりました。 Kjさんが発症したパニック障害では、突然起こるパニック発作によって不安や恐怖に襲われることがあります。パニック障害と向き合い、症状をコントロールするためには、どのような病気なのか知っておくことが大切です。 今回は、そんなパニック障害の症状や原因を医師が解説します。また、パニック発作が起きたときの対処方法や、パニック障害の治療方法もみていきましょう。 ※この記事はMedical DOCにて「「パニック障害」とは?症状・原因・対処法も併せて解説!【医師監修】」と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
パニック障害の特徴
Q.パニック障害はどのような病気ですか? A.予期せず突然に動悸・めまい・手足の震え・窒息感・吐き気・発汗などの症状が起こることを「パニック発作」といい、何度も繰り返される状態やそれによって日常生活や社会生活に支障が生じるのが「パニック障害」です。 パニック発作でみられる症状は心臓・肺・脳の病気を疑うものでもあり、救急外来をはじめ医療機関を何度も受診するケースが少なくありません。パニック発作は誰にでも起こりうるものですが、予測できる発作や単発での発作の場合はパニック障害とはいいません。パニック発作を起こす頻度は個人差があり、月に数回のケースもあれば週に数回のケースもあります。 決して珍しい病気ではなく、一生の間にパニック障害になる人は1,000人に6~9人いるといわれています。男性よりも女性に多く、20~30代の若い世代に好発するのが特徴です。 Q.何が原因でパニック障害になりますか? A.明確な原因はまだ解明されていませんが、脳内の伝達物質やストレスが影響しているのではないかといわれています。脳内には多くの神経細胞や受容体があり、さまざまな情報伝達が行われます。 その伝達機能に何らかの異常が生じると、脳に「生命の危機」を知らせるアラームが発動し、パニック発作を引き起こすのです。 その他にも、発症の数か月前に強いストレスを経験したケースや、カフェインなど特定の物質を摂取した際に発作が起こるケースもあり、さまざまな原因が考えられています。 Q.パニック障害でみられる症状を教えてください。 A.パニック障害の症状は「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つです。先ほどお伝えしたように、パニック発作は動悸・めまい・窒息感などの身体症状で、発作が起こることは予測できません。そのため、「突然起こる」という表現が使われるのです。そして、パニック発作を何度も経験すると、「また発作が出るのではないか」「次は本当に死んでしまうかもしれない」という不安や恐怖を感じる人も少なくありません。それが「予期不安」で、パニック障害の特徴的な症状です。 また、「この場所に行くと発作が起こる」「発作が起こっても逃げられない」という不安から特定の場所を避ける状態を「広場恐怖」といいます。パニック発作を起こさないように特定の場所を避けるため、日常生活や仕事に影響が出ることも少なくありません。その特定の場所は人によって異なり、エレベーター・電車・会社などさまざまです。予期不安と広場恐怖はすべてのパニック発作の患者さんにみられる症状ではありませんが、これらによって外出が困難になったり会社を辞めたりするケースもあります。 Q.パニック発作が起きたときの対処法を教えてください。 A.パニック発作が起きたときは、慌てずゆっくりと呼吸をしましょう。また、できるだけリラックスできる体勢になることも大切です。パニック発作は発作が始まってから10分以内にピークを迎え、20~30分ほどで治まるといわれています。辛い症状がそれだけ続くのは大変な苦痛ですが、「必ず発作は治まる」と思って心に余裕を持つことも大切です。 少しでも気持ちを落ち着かせられるように、呼吸法を知っておくことをおすすめします。近くに頼れる人がいれば側にいてもらうのもよいでしょう。