古傷の再発、秋田へのレンタル移籍――岡山のJ1初昇格に大きく貢献したCB阿部海大の成長譚
紆余曲折もあったが、後悔はない
転機となったのが、2023年シーズンだ。経験を積むべく、阿部は秋田への期限付き移籍を決断する。すると開幕からレギュラーポジションを掴み、最終的に35試合に出場。初めて1年間を通じてレギュラーとして活躍すると、自信を深めた成果は今季に表われる。阿部は言う。 「本当にちょくちょく試合に出るくらいで、シーズンを通して試合に出ることが昨季までなかった。そのなかで去年、秋田に行かせてもらって、1年を通じて試合に出ることで得た自信を今季に反映させられた。試合に出られていない時にコーチやトレーナーの話を聞きながら積み上げてきたので、それが今季に繋がっている」 岡山に戻った阿部は開幕から右CBのレギュラーとなり、安定感のあるパフォーマンスで木山隆之監督の信頼を得る。「1つのミスが失点に繋がる。場面に応じてどんなプレーをするべきかを学べたので、その経験は大きい」(阿部)。そして、迎えたプレーオフは準決勝、決勝ともにスタメンに名を連ねた。昇格を決めた仙台戦は90+1分でお役御免となったが、チームへの貢献度は絶大だった。 気がつけば、プロ入りから7年。遠回りをしたなかで、ようやく納得がいくシーズンを送れた。紆余曲折もあったが、後悔はない。「高卒で入団した岡山でJ1昇格を掴めたことが本当に嬉しい」とは阿部の言葉。最高の笑顔で仲間のもとへ駆け寄った男は、さらなる飛躍を目ざし、次のステージに足を踏み入れる。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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