今後の温暖化対策と観測データ 長野県が2つのポータルサイト開設
長野県は気候変動の実態とその対策を発信して温暖化対策に幅広く取り組んでもらおうと20日、ネット上に2つのポータルサイト(総合的なサイト)を開設しました。県内の気候変動の観測に関わっている県の環境部、農政部はじめ国交省、環境省、筑波大、信州大などのデータを関係機関や県民が共有、同様に対策に取り組む企業、大学などの情報も網羅して活用する狙い。自治体による気候変動対策のサイト立ち上げは珍しいとしています。
大学や企業などの情報も共有
開設したのはさまざまな機関の観測データを中心に集めた「信州・気候変動モニタリングネットワーク」と、温暖化の影響予測と今後の対策について協調していく大学、企業などを紹介する「信州・気候変動適応プラットフォーム」のサイト。2つのサイトで気候変動の現状をつかみながら、さまざまな適応策や対策を共有していくのが目的です。 観測データ中心の「モニタリングネットワーク」では、気象庁の地球温暖化予測情報、異常気象レポートなど8項目のデータにリンク。環境省の気候変動に関するプロジェクトなど5項目や、県の環境保全研究所の6件の研究報告、長野地方気象台の県内の気象情報などもネットで結んで、気候変動に関するデータと研究成果が一覧できます。 国際的な情報としてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書の翻訳文書にもリンクし、今後の海水温の上昇予測など地球規模のデータにもアクセスできます。
気候変動に人の生活をうまく適応させたり対策を講じるための情報は「気候変動適応プラットフォーム」のサイトで紹介。対策などの根拠となる今後の影響予測では、長野県の気候変動に関するデータを紹介し、気候変動が身近な問題として認識できます。 例えば気温の上昇予測では、1981年~2000年の年平均気温を基準として長野県では21世紀末(2080年~2100年)に4~5度気温が上昇するとの環境省の資料を紹介。 同様に降水量も長野県の北部や中部を中心に1.1~1.2倍に。また、同時期に熱中症の搬送者の数も4~8倍になるとの将来予測も載せ、気候変動が身近で深刻な問題になってくることを伝えています。 このため信大の各学部の研究者や大手電機会社の長野支店、建設業、燃料会社、高速道会社、病院、県など49の企業、団体が「プラットフォーム」のポータルサイトに参加してそれぞれの対応策などの情報交換を進めることにしています。