「渡利カキ」の出荷本格化 紀北町特産、道の駅や料亭に 三重
【北牟婁郡】三重県の紀北町特産「渡利カキ」の出荷が同町相賀の民宿「ロッジ山水」の養殖場で本格化している。3月末までにカキ棚25台から約9トンを水揚げする予定。 同社は熊野灘の海水と大台ケ原の清流が交わる汽水湖「白石湖」で、50年以上カキの養殖を続けている。同所で種から天然採苗し、昨年7月に稚貝を海中に沈めた。 水揚げは上地建一郎社長と父の茂さんが湖内のカキ棚に船を寄せ、海中につるしたロープを機械で引き上げると、カキがガラガラと音を立てながらかごの中に落ちた。 水揚げしたカキは、殺菌灯で照らした海水の水槽に18時間ほど沈めた後、従業員らが出刃包丁で殻を開いて身を取り出した。今年は高温の影響で発育が遅いという。 全体の4割を殻付きの状態で、6割をむき身で道の駅や料亭に出荷。同町東長島の道の駅「紀伊長島マンボウ」などで購入できる。来月からロッジ山水でも販売する。 上地社長は「他地域にはほとんど出回らない珍しいカキ。過酷な環境で育ち、クリーミーでうまみ成分が豊富なので、何も付けずにそのまま食べてほしい」と話した。