日本ハムに告ぐ。ファンが見て幸せになれるかどうか。プロならば、第一にそこを考えるべきである／廣岡達朗コラム
川上哲治さんのような存在
日本ハム・新庄剛志監督にとって2024年のシーズンは背水の陣となる。 就任早々は1年契約を表明し、覚悟を示したと思われたが、気づいてみれば3年目。昨年まで2年連続で最下位だけに、いよいよ崖っぷちである。 【選手データ】新庄剛志 プロフィール・通算成績 日本ハムは誰が主軸なのだろうか。私が現役時代の川上哲治さんのような存在がいない。川上さんはナインが少々いい加減なことをやると、眼光鋭く睨みを利かせたものだった。だから選手は背筋が伸びた。 日本ハムには、そういう影響力を発揮する存在がいない。だからエラーをしても平気で笑っている。余裕を見せている場合ではない。なぜもっと真剣に取り組めないのだろうか。 秋季キャンプの映像を見たが、ノックでも内野手は横着をして捕っていた。片手捕りや横を向いて捕る選手が目立った。注意するコーチもいない。だから選手は「どうだ、俺はカッコいいだろう」とアピールするような、自分さえよければいいというプレーをしてしまうのだ。 投手とは打者を打ち取るところまでが仕事である。内野ゴロを打たせたら、あとは野手に任せる。にもかかわらず野手がそんな捕り方をしていたら安心できない。投げる前にバックに任せようという気がなくなる。
バックが投手を育てるべき
V9時代のエースだった堀内恒夫が新人のとき、ショートの私は「バックには長嶋(長嶋茂雄)や俺がいる。もっとバックを信頼して打たせろ」と言った。その後、彼は徐々に成長していった。バックが投手を育てなければいけない。 日本ハムの秋季キャンプに話を戻すと、捕手の二塁へのスローイングがストライクであろうとボールであろうと、ここでもコーチは何も言わなかった。 何もかも結果オーライ。それはダメだと言える度胸がないのではない。経験がないから言えないのだ。つまり、怒る理由がない。捕手にシュート回転しない、クセのない球をどう二塁へ放らせるかということが担当コーチは分かっているのか。 コーチが何も言わなければ、新庄監督もテレビを見る限り、就任当初の積極的に直接指導するシーンが見られなくなった。
