日本ハムに告ぐ。ファンが見て幸せになれるかどうか。プロならば、第一にそこを考えるべきである/廣岡達朗コラム
練習は勝つためにすべき
エスコンフィールドは良い球場である。しかしグラウンドが良ければ良いほど野手は考えなくなる。われわれの時代のグラウンドは劣悪だった。だから、いつイレギュラーするか分からないと緊張感を持って用心した。用心して何事も正確にやるという気持ちが大切だ。 秋季キャンプをやっても、これではただやったというだけのセレモニーに過ぎない。練習のための練習。練習とは以前にも書いたことがあるとおり、勝つためにすべきものだ。 球団は金儲けできればいいと思っている。観客動員力を見込んで新庄監督を招聘。ポスティングで有望選手をメジャー・リーグに送り込んできた。2020年オフの有原航平、今オフには上沢直之が海を渡った。 日本ハム首脳陣に告ぐ。球場に見にきた観客を喜ばせるためにこうしろ、と言うべきだ。お金をもらえば幸せなのか。自分さえよければ幸せなのか。選手本人はそれでいいかもしれない。だが、決して安くない入場料を払ったファンが見て幸せになれるかどうか。プロならば、第一にそこを考えるべきである。 ●廣岡達朗(ひろおか・たつろう) 1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。 『週刊ベースボール』2024年2月12&19日号(1月31日発売)より 写真=BBM
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