ジャズピアニスト・壷阪健登29歳、鮮烈デビュー 小曽根真が見抜いたソロピアノの魅力
ジャズピアニスト、壷阪健登(29)が、自作曲のソロ演奏だけで固めたデビューアルバム「When I Sing」をレコード大手、ユニバーサルミュージックから出して注目されている。プロデュースは、小曽根真(63)。この大御所ジャズピアニストが、直感で、ソロ演奏を勧めた。慶応大を卒業後、渡米してジャズを本格的に学んだ壺阪が、ピアノへの思いを語る。 【別カットでみる】ジャズピアニストの壷阪健登 ■山下洋輔に感動 --ピアノとの出合いは? 小学1年生のとき。音楽教室で、すごく良い先生と出会えて、教則本は使わずに、ショパンとか好きな曲を演奏していました。 中学2年生の頃、テレビの音楽番組で山下洋輔さんの演奏を見て感動し、東京・日比谷公園大音楽堂で「結成40周年記念! 山下洋輔トリオ復活祭」公演を見に出かけ、ますます好きになりました。 <山下洋輔。昭和17年、東京都出身。ジャズピアニスト。理論による束縛からの解放をうたったフリージャズを日本で最初に演奏した一人。筒井康隆、浅井慎平、タモリと親交の幅が広い> 高校生のとき、ジャズフェスティバル「横濱ジャズプロムナード」で板橋文夫さんの演奏に刺激され、板橋さんが講師の音楽教室でジャズを習いました。 <板橋文雄。昭和24年、栃木県出身。ジャズピアニスト。45年、渡辺貞夫のグループに参加してプロデビュー。邦楽家、詩人、画家、韓国のシャーマンなど多様なアーティストと共演> ただ、板橋さんに教わるのは、野山を自由に駆け回るようなもので、大西順子さんのワークショップに参加した際、〝ジャズのボキャブラリー〟をもっと知るべきだと気づきました。 <大西順子。昭和42年、京都府出身。ジャズピアニスト。米バークリー音楽大学を卒業し、ニューヨークで活動。帰国して平成5年にアルバム「WOW/ワウ」でデビュー。欧米でも活躍。平成24年にプロ引退を宣言したが、27年には活動再開> ジャズという歴史ある音楽で、他人とコミュニケートして演奏するための必要最低限の〝言語〟や〝文法〟を僕は知らなかったということです。 都内のジャムセッションができる店に出入りして、大勢の演奏家仲間と出会い、徐々にジャズシーンに足を踏み入れていきました。