ジャズピアニスト・壷阪健登29歳、鮮烈デビュー 小曽根真が見抜いたソロピアノの魅力
■慶応大を出て渡米
--慶応大卒業ですね。就職活動は?
していないです。3年生のときにプロのピアニストになるため音楽を勉強しようと考えて
--米バークリー音楽大に進みましたね
奨学金が出たんですよ。両親は音楽をやっていたわけでもないのに僕をサポートしてくれ、本当にありがたいことです。
--バークリーでは、どんなことを学んだのですか?
ジャズの学校だと思っている人も多いでしょうが、基本的には広く商業音楽を学ぶ学校です。世界中からさまざまな背景を持ったミュージシャンが集まり、聴いたこともないような音楽を一緒に演奏して学ぶのです。
英語にたとえれば、日本人はジャズをネーティブの人たちのように〝しゃべれない〟かもしれないですが、近づけるように努力して、練習することを繰り返し、次に進むことを続ければ、ベターなミュージシャンになれる。そういう音楽に向き合う姿勢みたいなものを学べた場所です。
■小曽根真との出会い
--日本に戻ったのは令和2年?
そうです。コロナ禍が理由です。2019年にバークリーを卒業して、ボストンに住んで、ニューヨークで演奏の仕事を得たのですが、高速鉄道でボストンへ戻る途中、ニューヨークがロックダウン。仕事が全部なくなったんです。
日本に戻って、ジャズクラブに出演するようになって、令和3年9月に東京・六本木のジャズクラブのカウンター席に小曽根さんがいらっしゃった。終演後、お話しして、「From OZONE till Dawn」にも誘われました。
<小曽根真。昭和36年、兵庫県出身。ジャズピアニスト。米バークリー音楽大学で学び、83年、ビブラフォン奏者、ゲーリー・バートンのグループに参加。また、アルバム「OZONE」でデビュー。コロナ禍の中、若い演奏家育成のため「From OZONE till Dawn」というプロジェクトを始めた>
--ソロピアノに挑戦しないかという話もそのときに?
そうです。僕のピアノを聴いて、「ソロで演奏している音が聴こえてきた」と。