「放課後に公園で遊ぶ」は希少?今、子どもに「サードプレイス」が必要なワケ
【――インターネット空間は数十年前にはなかった居場所ですね。どんなメリット・デメリットが考えられますか?】 学年や性別、地域を超えて、どこにいても幅広い人間関係を築けるのは、インターネット空間ならではのメリットといえます。 ただし、インターネット上で本当にのびのびとしたコミュニケーションができるかどうかは、判断が難しいところです。また、オンラインゲームにおいては、課金のリスクや「悪意のある大人に利用されるのではないか」といった不安も付きまといます。 いずれにしても、保護者のかたが見守れる範囲の中で、利用時間などのルールを決めて活用することが大切ですね。 【――居場所のカタチが変わったことで、自然に生まれるサードプレイスも減っているのでしょうか?】 「地域の子どもどうしで自然に集まって外遊びをする」といった過ごし方は、少なくとも減少していると考えます。私たちが2023年に行った調査では、友達と遊ぶ頻度が「週1回以下」と答えた小学生は70.9%にも上りました。 遊べない理由としては「習い事や塾で忙しく、予定が合わない」「遊べる場所がない」という声が多く、この結果を見ても子どものサードプレイスは、保護者と子どもで相談して、意識してつくっていく必要があるといえます。
子どものサードプレイスを探す時は「4つのキーワード」に注目
【――保護者のかたは、子どもの居場所についてどのようなポイントを考えるとよいでしょうか?】 「自分にとって心地よい居場所かどうか」を決めるのは子ども自身ですが、そのポイントを私は、「ありのまま」「自己決定」「他者への貢献」「伴走者」という4つのキーワードで考えています。
それぞれのキーワードについて、順にご説明します。 【●ありのまま】 まず、「今のままのあなたに価値があるよ」「あなたがいてくれてうれしい」と子どもの存在そのものを肯定してくれることが第一条件だと思います。 もちろんどの子どもにも、それぞれ長所・短所があります。 しかし基本的には、子どもの存在を全肯定してくれる人が周りにいれば、その子の自己肯定感は大きく育つのではないでしょうか。 「ありのまま」を受け入れる第一の場所はご家庭だと思いますが、それ以外にも子どもの自己肯定感が育まれる場所ができるとよいですね。 【●自己決定】 学校教育では基本的に、子どもは学ぶ時間・場所などを自分で決めることができません。 就学前は比較的、「何をして遊ぶか」などは自分で決めることができたと思うので、自己決定権がないことは大きなストレスになり得ます。 その結果、「どうせ自分では決められないんだ」と思って考えることを放棄してしまうと、大人になっても自分で物事を決めるのが難しくなる可能性があります。 また、「自分で何かを決めること」はくり返し練習していくことによって、初めて鍛えられるものです。 その意味で、子どもの居場所では、「何をするか自分で決めることができる」ことが大切です。 【●他者への貢献】 たとえば私たちが運営する「アフタースクール」では、下級生に遊び方や勉強を教えながら成長する子どもたちがたくさんいます。 「誰かの役に立てている」と思えれば、子どもは「ここには自分の居場所がある」と感じられるはずです。また、自分より下の学年の子に何かを教えたり、上の学年の子に悩みを相談したりする中で、人間的に大きく成長することも期待できるでしょう。 【●伴走者】 「居場所」というと、建物や部屋など物理的な場所を思い浮かべがちです。 しかし「子どもにとって心地よい居場所であるかどうか」を大きく左右するのは人間関係です。 たとえば古くて狭い施設であっても、信頼できる人がいれば子どもにとってはよい居場所になるでしょう。たとえその場所を離れたとしても、「自分のことを大切に思ってくれている人がいる」と感じられるのは、大きな心の支えになります。