五輪汚職事件、高橋治之被告は「スポンサーを決定する力があると思った」…AOKI前会長が公判で証言
東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、受託収賄罪に問われた大会組織委員会元理事・高橋治之被告(80)の公判が18日、東京地裁(安永健次裁判長)であった。高橋被告への贈賄罪で有罪が確定した紳士服大手「AOKIホールディングス」の青木拡憲(ひろのり)・前会長(86)が証人出廷し、高橋被告について「組織委の中でスポンサーを集めて決定する力があると思っていた」と述べた。 【写真】保釈され車いすに乗って東京拘置所を出る高橋治之被告(22年12月)
公判では、高橋被告に職務権限があったかどうかが争点の一つとなっている。検察側は、高橋被告が組織委元会長の森喜朗・元首相(87)からスポンサー集めなどを一任され、職務権限があったと主張。弁護側は「一任されたという証拠はない」と反論し、無罪を訴えている。
この日の公判で、青木氏は検察側の尋問に対し、2017年1月に高橋被告から「本来なら15億円のところを7億5000万円で(東京大会に)協賛してはどうか」と提案されたと証言。高橋被告について「協賛金額を決めるほどの力があると思った」と述べた。
また、資金提供の受け皿となった高橋被告のコンサルティング会社と契約した理由については、「高橋さんの人脈を会社のために役立てようとした」と説明。検察側から「東京大会に関して高橋被告に動いてもらうことも業務に含まれていたか」と問われると、「はい」と答えた。
一方、青木氏は弁護側の尋問に対し「高橋さんが理事であるとまでは認識していなかった」と証言。コンサル契約に関し、高橋被告には、CMに起用するスポーツ選手を紹介してもらうなど、東京大会以外の仕事の提案も受けていたと述べた。
青木氏は、スポンサー選定などで便宜を図ってもらった見返りに高橋被告に計2800万円の賄賂を渡したとして、懲役2年6月、執行猶予4年の判決を受け、確定している。