1934年全線開通の高山線が90周年 ロゴ作成や装飾列車で盛り上げ
JR高山線が1934年(昭和9年)の全線開通から90周年を迎えた。新たなロゴマークを作成したほか、特別装飾の特急列車や子どもたちのイラスト展示なども企画し、節目を盛り上げている。 90周年のロゴマークを作成した中島さん
順次延伸
高山線は20年(大正9年)に岐阜―各務ヶ原駅間が開業してから順次延伸された。34年10月25日には飛騨小坂―坂上駅間が開業するとともに、当時の 飛越ひえつ 線が高山線に編入されたことで岐阜―富山駅間で全線開通となり、今年で90周年を迎えた。 山間地を縫って岐阜市と富山市を結んでおり、下呂温泉や高山、飛騨市をつなぐ観光路線としても利用されている。普通列車は、運転士のみで車掌がいない「ワンマン列車」もあり、乗降時は乗客が車内のボタンを押してドアを開ける。 特急列車「ひだ」も走っており、2022年7月からはハイブリッド車両「HC85系」を採用した。エンジンによる発電と蓄電池を組み合わせてモーターを回して走行する仕組みで環境に優しく、乗客にも好評という。
ロゴマーク
90周年のロゴマークは、かつて「ひだ」に車掌として乗務していた中島慧さんが作成した。「90th」と車両などをあしらい、パソコンのイラスト用ソフトを使って完成させた。 高山線沿線の名所・名物を考えた時、温泉や祭り、飛騨牛、茶、トマト……など数え切れず、絵柄に取り入れるものを絞れないと悩んだという。「あえて名所・名物をロゴに入れず、お客様に旅行を通して魅力を見つけてもらいたいと工夫した」と振り返る。 現在はJR東海・東海鉄道事業本部名古屋運輸区に所属し、在来線の運転士を務めるほか、指導運転士として若手育成にも励む。「JR東海最新の特急車両HC85系の快適性をお客様に体感してもらい、100周年という大きな節目に向けてさらに沿線を盛り上げていきたい」とロゴマークに込めた思いを語る。
タイアップ
岐阜県とタイアップして装飾した編成「ぎふ旅×ひだ号」も約1か月間運転した。岐阜の魅力を堪能しながら「岐阜の旅」を楽しんでもらおうと、高山線沿線の高校生がデザインしたヘッドマークを付け、車内にポスターを掲示した。このほか、県内在住の小学生以下の子供らを対象に高山線に関連したイラストを募集、岐阜駅に展示した。 中島さんは「観光客だけでなく、地域の皆様にもこの土地の素晴らしさを再認識してもらい、自分のお気に入りを見つけてほしい」と呼びかけている。