バス事故は年間2200件超! 急ブレーキを減らすために「間に合うダイヤ」が絶対必要なワケ
「間に合うダイヤ」実現に向けた取り組み
リアルタイムデータの活用は非常に重要であり、交通量や渋滞情報をもとにダイヤを調整する技術的なアプローチが進んでいる。 ・バス専用レーンの整備 ・優先信号システムの導入 は、運転支援において有効な手段となる。また、効率的な ・停留所の配置 ・車線の設計 も、都市計画の一環として運転支援において重要だ。乗降頻度や停留所の位置を見直し、発進や停車をスムーズに行えるような設計が求められる。 さらに「間に合うダイヤ」を作成するためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)の技術が有用だ。実際の走行時間やプロセスに関するデータを収集し、それをビッグデータとしてAIに分析させ、最適なダイヤを定期的に導き出すことが技術的に可能になっている。バスダイヤの自動生成はコンピューター分野で長年研究されてきたが、従来のシミュレーションベースのモデル作成ではなく、 「実際の運行データ」 をもとにダイヤを計算する技術が進化している。 また、運行管理者によるリアルタイムな運行管理を強化し、運転支援ができるシステムの導入も重要だ。DXは運転支援の未来におけるカギとなるだろう。
安心安全な路線バス運行のために
ドライバーと話すと、ダイヤに余裕がないという声をよく聞く。2024年問題もあり、路線バス事業者が 「拘束時間を短く見せたい」 気持ちは理解できる。しかし実際には、「間に合うダイヤ」で余裕を持って運転したいと考えるドライバーが多い。事業者は運行効率も重視しているが、安全性やドライバーの働きやすさを考えると、「間に合うダイヤ」の方が重要だ。これがドライバーの働き方改革にもつながる。 「間に合うダイヤ」は、ドライバーのストレス軽減を助け、働きやすさを向上させる。焦りによる事故も防げるため、結果的に地域社会にとっても大きな利益がある。 利用者側からは、より早く目的地に着くことを重視する声も多いが、安全で安心な地域の足としての路線バスを維持するためには、ドライバーにとってよい「間に合うダイヤ」の安定した導入が必要だ。みんなでその支援を行い、公共交通の安全性を高めていきたいものである。
西山敏樹(都市工学者)