中国企業の対欧投資がハンガリーに集中する背景 親密な外交関係や低い法人税率などが呼び水に
中国企業の海外進出熱が高まる中、ヨーロッパ市場への“入り口”としてハンガリーが脚光を浴びている。 【写真】中国のEV最大手のBYDがハンガリーで現地生産している電動バス 「わが国にとって、今や中国はヨーロッパ域外で最も重要な貿易パートナーだ。両国間の貿易額は2015年から今日にかけてほぼ倍増した。ハンガリーは中国からヨーロッパに通じる重要なドアであり、東西をつなぐ天然の架け橋だ」 ハンガリー貿易促進公社(HEPA)のガボール・イェネーCEO(最高経営責任者)は11月26日、北京で開催された第2回中国国際サプライチェーン促進博覧会の席上でそう述べ、中国企業のさらなる投資拡大に期待を寄せた。
■対欧投資の半分を受け入れ ハンガリーは欧州連合(EU)の加盟国であり、ヨーロッパ地域の(中でも地理的に中国に近い)東部に位置する。 2023年の中国とハンガリーの貿易額は130億ドル(約1兆9968億円)を突破し、中国からハンガリーへの直接投資額は76億ユーロ(約1兆2238億円)に達した。これは同年にハンガリーが全世界から受け入れた直接投資額の58%に相当する。 「2024年は中国とハンガリーにとって重要な節目の年になった。中国の対ヨーロッパ投資の半分近くをハンガリーが受け入れたからだ」
ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は11月26日、中国の王毅外相と北京で会談した際にそう述べた。 「中国企業がハンガリーに投資する最大の目的は、わが国を経由してヨーロッパ市場にアクセスすることだ」。財新記者の取材に応じたHEPAのシニア・アドバイザーは、中国からの投資急増の背景をそう説明する。 「ハンガリーは大国ではないが、(外国からの投資に対して)非常に開放的だ。わが政府は貿易と投資を後押しするために、一連の優遇税制を整備した。法人税率はEUで最も低い9%だ」。ハンガリー投資促進公社(HIPA)の幹部は、財新記者の取材に対してそう強調した。