遠距離介護で困ることって? じつはあまり知られていないメリットとは?
遠距離で在宅介護を可能にしているお役立ちグッズ
まずは監視カメラです。安否確認ができる見守りサービスは多いのですが、ガスやポット利用による確認メールが主流です。やはり自分の目で動いている姿が見たい、音が聞きたいので、居間に監視カメラを設置して、スマホでチェックしています。カメラ費用も安価になっていて、8,000円程度から購入可能で、設置費用もかかりません。 怪しげな訪問販売の対策もしています。録画機能付きのドアホンを設置することで、誰が来たか分かるようになっています。認知症なので、来た人を覚えていません。意外とセールスが来ますが、録画されているので後日電話ではっきり断ることもできます。
やってはいけない認知症の親の呼び寄せ
遠距離介護が難しいので、親を呼び寄せて同居したり、近くの施設に入居するという方法をとる方もいらっしゃいます。ご自身は安心すると思いますが、ここは親の気持ちになって考えてみてください。 近所にいた昔からの友人と別れ、聞き慣れたはずのあの方言が周りから消え、みそ汁の味が変化する。18歳で都会へ出る好奇心いっぱいの若者とはワケが違います。特に認知症の場合、こういった環境の変化についていけずに症状が悪化するということがあります。トイレの使い方にとまどう、お風呂の操作が分からないので、利用を控えるといったことも起こります。 こういった理由で、もし母が施設への入所が決まった場合でも、岩手県から離れることはありません。
えっ? 遠距離介護にも2つもメリットがあるんだ!
遠距離介護の最大のメリットは、介護生活をリセットできることです。認知症の母と一緒に生活していると、時にはケンカになることもあります。しかし、東京に戻って数日生活すると、ケンカのことを忘れます。次回、帰省した時はイライラも消えていますし、認知症の母もケンカのことは覚えていません。 2つ目に、施設への入所を検討する場合、遠距離介護のほうが優先順位は高くなります。入居待ち約52万人といわれる特別養護老人ホームなどは、こういったところで差がつきます。 東京での生活を軸にしたいという自分自身の考えもあって、あえて通いの遠距離介護をしています。 遠距離介護で困ったら、無料相談してみてはいかがでしょうか? NPO法人パオッコ(東京都・文京区本郷)では、不定期で「パオッコサロン」が開催されています。遠距離介護の第一人者である太田差惠子代表やスタッフの皆さんが、遠距離介護の悩み相談に乗ってくれます。事前申し込み不要で、毎回先着20人が相談を受けられます。詳しくはホームページでチェックしてみてください 介護サービスを利用することで、帰省頻度が減り、同時に交通費も削減されました。心身疲労からも解放され、帰省できなくても安心です。周囲を巻き込み、グッズを使って私は通いの遠距離介護を可能にしています。 次回コラムでは、こういった遠距離介護で毎月どのくらいの費用が発生しているのか、認知症でかかる費用はどれくらいかなど、お金にまつわるお話です。 (介護ブログ「40歳からの遠距離介護 」運営・工藤広伸【くどひろ】)