「悪質運転で突然命を断ち切られた全ての人を忘れないで」娘の命を奪われた父 警察官に危険運転の取り締まりの強化を訴える
娘をはねた車の運転手は捜査段階では、交差点よりだいぶん手前で赤信号を認識し、それをあえて無視して交差点に進入したと供述していたということですが、公判で、交差点直近で赤信号を認識したと主張を変えました。 争点は運転手がどこで赤信号を認識したのか。つまり、赤信号を認識した地点が、信号機の直近12.4メートル(事故後1年半以上経過したときの実況見分で供述)なのか、停止線よりもだいぶん手前の27.9メートル(事故の11日後の実況見分で供述)なのかで、赤信号を「殊更無視」したといえるかどうでした。 2022年3月22日。東京地裁は、加害者が27.9m地点で赤信号であることを認識していたとし、急ブレーキをかけて交差点に進入したとしてもそれが直ちに危険が発生するような状況でもなかったとして、赤信号の「殊更無視」と認定。危険運転致死傷罪が成立するとして、懲役6年6か月を言い渡しました。 波多野さん「赤信号で交差点内に、他の車がいないうちに車線変更してしまおう」と考えた加害者の動機からして、停止線のだいぶ前から、右車線の状況は確認をしていたはずだと。少なくとも、車線変更する際には、 右のサイドミラーで右車線の状況を確認していることは間違いないと思っておりました。 すなわち、右車線に赤信号で停車中の車列があるのは確認して、その上で交差点に 進入したのであれば、これは確定的な信号無視だろうというふうに考えていました」 ■波多野さん「悪質運転には捜査を尽くして」 警察官に訴え続ける 波多野さんは自らの経験を踏まえ、全国の警察署を訪れて警察官に危険運転をしっかり取り締まってほしいと訴える活動を続けています。 波多野さん「酒、薬、ひき逃げ、赤信号無視。こうした犯罪行為の結果、何の落ち度もない子どもが命を失う。こうしたことの悔しさ、社会からの疎外感。皆さんもぜひ想像していただきたいです」 波多野さんは、「好事例を共有」することの重要性を訴えました。好事例を頭に入れて初動捜査にあたるのと、そうでないとでは、結果が全く違うと話します。
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