「悪質運転で突然命を断ち切られた全ての人を忘れないで」娘の命を奪われた父 警察官に危険運転の取り締まりの強化を訴える
波多野さん「耀子はどうなったのか妻にと聞くと、妻は黙って首を横に振るだけ。 病室に来ていた父から「耀ちゃんはダメだったよ」と聞きました」 重傷を負って、娘の耀子さんの通夜に出ることができなかった波多野さん。葬儀には車いすで参加しました。 波多野さん「全く受け入れられない光景でした。ただ1人の娘が死んで、冷たくなって、自分は生きているのに、なぜ娘が…。今でも花に覆われた棺から見えた顔を忘れることができません。」 娘の耀子さんと波多野さんをはねた運転手は、信号無視を認め、『過失運転致傷』の疑いで現行犯逮捕されました。しかし、波多野さんは納得できませんでした。 波多野さん「信号無視をして横断歩道に進入しているのに、なんで「過失」なのか「故意」ではないのかと怒りを覚えました。絶対に許せない」 ■赤信号無視で交差点進入なのに過失?事故を独自調査 波多野さんは税理士として普段から法律に接していました。そこで、事故に関する法令を調べると「危険運転致死傷罪」と「過失運転致傷罪」があることがわかりました。 ■「危険運転致死傷罪」の条文 「法2条7号 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、 かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」 波多野さん「なんて簡単な条文なんだと思いました。 条文のボリュームも、米粒みたいに少ないと思いました」 波多野さんが病院から担当の捜査員に電話して「危険運転ですよね?」と確認すると、「まだ捜査中です」といわれたそうです。 波多野さん「私は条文の中にある「重大な交通の危険を生じさせる速度」について娘をひいた軽ワゴン車の時速57キロは「危険運転」という理解で正しいですかと聞くと、「正しい」という答えでした。では、「信号を殊更に無視した」という言葉がポイントなのですか」と聞くと、その通りですという答えが返ってきました。」 「過失運転致死傷罪」は量刑の上限が7年。一方、2001に設けられた「危険運転致死傷罪」は量刑上限は懲役20年と重くなっています。その対象は「アルコールまたは薬物の影響で正常な運転が困難な状態」「赤信号殊更無視」「制御が困難なスピードによる走行」などとされていますが、呼気中のアルコール濃度や車の速度など数値的な基準は示されておらず、裁判所が危険運転を認めなかった例はこれまでも少なくありません。
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