「悪質運転で突然命を断ち切られた全ての人を忘れないで」娘の命を奪われた父 警察官に危険運転の取り締まりの強化を訴える
■「赤信号殊更無視」とは何か… 危険運転致死傷罪の構成要件である「殊更に無視」を司法に認めてもらう闘いが始まりました。調べてみると赤信号を無視して車にはねられ死亡したケースが2015年に千葉県で起きていました。 2015年4月、千葉市の交差点で乗用車の運転手が赤信号に気づきながらも加速して交差点に進入しバイクと衝突。バイクの運転手が死亡しました。この裁判では、乗用車の運転手が赤信号を認識した地点が交差点停止線の直近だったため、信号を無視して進行した行為が「殊更に無視」ではないとして危険運転致死傷罪を認めず、気質運転致死罪が成立するとしました。量刑についても執行猶予付きの懲役刑を言い渡しました。 そもそも「殊更無視」による危険運転致死傷罪は、停止線を越えたとしても、安全な場所に停止できるにも関わらず、あえて赤信号を無視して進行した場合に成立する犯罪です。要は交差点内であっても安全な場所で停止できるにも関わらず、あえて進行を続けた場合に「殊更に無視」となりますが、安全な場所で停止できない場合には赤信号を無視して進行してたとしても「殊更に無視」にあたらないと解釈されるのです。 赤信号を無視して交差点内に入れば、道路交通法の信号などに従う義務違反として処罰の対象となりますが、もし、赤信号を無視して交差点に入ったとしても、自身の身の安全を守るためにそのまま進んだということであれば、理論的には「殊更に無視」による危険運転致死罪は成立しないと解釈するしかないのです。 ■「赤信号殊更無視」は認められるのか、司法の判断は… 事故発生から1年以上たっても起訴されず、加害者からは直接の謝罪もありませんでした。波多野さんは信号無視など加害者の悪質性を検察に訴え続けました。その結果、2021年3月、加害者の運転手が「赤信号を殊更に無視した」として、より量刑の重い危険運転致死傷の罪で在宅起訴されました。そして、1年後の2022年3月に東京地裁で裁判が開かれました。
【関連記事】
- 「1歳の息子が車に閉じ込められた」炎天下の駐車場でとっさの判断 救助の男性が迷わずとった行動とは 富山・南砺市
- 「やりたいことを堂々と」顔面動静脈奇形・河除さん 劇団員としてマスクなしで初舞台「ハイスペックイケメンにしか見えなかった…」富山
- なぜ母親は13歳の娘に不倫相手との性行為を見せたのか「変な親心で…」児童福祉法違反などの罪に問われた母親が裁判で語ったこと 子供の性被害がなくならない
- 「いい加減止めないと大変なことになる」梅毒が10年で女性は23倍に…骨や臓器に“ゴムのような腫瘍”放置すれば死に至る場合も 富山県でも急増“偽装の達人”体内でゆっくりと進行
- 「生まれてきてよかった」難病・顔面動静脈奇形の河除静香さん 見た目の悩みを乗り越え“この顔だからこそできること”