独裁国家と民主主義の狭間で=ブラジルがBRICS議長国に=中露の圧力受け難しい立ち位置
ブラジルは2025年1月より輪番議長国
主要な新興経済国で構成される国際的な枠組み「BRICS」において、ブラジルは2025年1月より輪番議長国を務める。グループ内での影響力を強化する一方で、これまでの外交的立場やグループ内での力学にどう対応するのか、その手腕が問われている。特に、加盟国である中国とロシアの国際的な影響力拡大に伴ってBRICSの経済的・政治的影響力も増す中で、ブラジルがどの役割を選び、方向性をどう定めるのか、国際的にも注目されている。
グローバルガバナンス改革
BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの加盟国5カ国に加え、2024年1月1日からイラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが新たに加盟し、計9カ国で構成されている。世界人口の約40%、世界GDPの1/4以上を占め、影響力は拡大している。 24年10月のBRICS首脳会議において、ルーラ大統領は25年の方針として「より包括的で持続可能なガバナンスのために、グローバル・サウス間の協力を強化する」と発表。この方針は、国連安保理や国際通貨基金(IMF)などの国際機関の改革を推進することを意味し、ブラジルは自国の立場を活かしてより公正なガバナンスの実現を目指すとともに、多国間主義の重要性を強調している。 25年はブラジルでCOP30も開催されることから、地球全体の未来にとって重要な議論を主導する立場に立ち、グローバルな合意形成に貢献することが期待されている。
反西洋的な立場を強化するBRICS
BRICSは近年、特に中国とロシアの影響を受け、反西洋的な性格を強めている。 中国は米国との経済的な競争を意識し、人民元の国際通貨としての地位確立に向けて積極的に取り組んでおり、米ドル中心の体制に対抗しようとしている。BRICS内でも経済的なリーダーシップを強めており、その影響力は今後一層強まると予想される。 一方、ロシアはウクライナ戦争を契機に西側諸国から厳しい制裁を受け、国際的な孤立から脱却する手段として、BRICSを経済的・政治的な支援を得るための外交的抜け道として利用している。 伯政府は、BRICSがグローバル・サウスの利益を代表し、既存の国際秩序に対抗する役割を果たすべきだと強調。ルーラ大統領はBRICSが「多極化を実現するための重要な枠組み」と位置付け、米国主導のブレトン・ウッズ体制(ドル本位制)、特にIMFや世界銀行といった国際経済機関の改革を進めるべきだと主張している。