独裁国家と民主主義の狭間で=ブラジルがBRICS議長国に=中露の圧力受け難しい立ち位置
G7に対抗する形で拡大するのか
24年10月のBRICS首脳会議で、新たに「パートナー国」枠を創設し、キューバ、ボリビア、トルコ、ナイジェリア、インドネシアなど13カ国参加が承認された。 ブラジリア大学経済学部のジョゼ・オレイロ教授は、BRICSの拡大は「覇権争い」を象徴しており、世界各地で影響力を拡大しようとする中国とロシアの地政学的な利益が強く反映されていると指摘。「例えばパートナー国に加盟したキューバは、BRICSには経済的利益はほぼない。だが、実際には新たな影響圏を創出することになる。これは経済的利益ではなく、地政学的な関心の問題だ」と説明した。 BRICS拡大がブラジルにどのような意味を持つかについては専門家の間で意見が分かれており、ブラジルの米国市場への依存度を減少させる可能性がある一方で、他の新加盟国との経済的な利益調整が難しくなるリスクも存在するという。 BRICSがG7に対抗する形で影響力を行使する一方で、その内部での意見対立や協調の難しさも浮き彫りになっている。 今後、BRICSの拡大は経済的な側面にとどまらず、政治的・戦略的でも注目が集まることになる。特に、BRICSがグローバル・サウスの代表として、既存の国際秩序に挑戦する姿勢を強化している点が、世界の地政学的動向にどのように影響を与えるかが、今後の重要な焦点となると専門家らは指摘している。