雇用保険改正でパートでも「週10時間以上」で雇用保険加入に。制度の狙いや2024年10月からの社会保険適用拡大を整理
2025年4月より自己都合離職者の給付制限が見直される
現行制度において、自己都合で離職した人や懲戒免職で離職した人の失業給付に関しては、7日間の待期期間に加えて2カ月の給付制限期間が設けられています。 つまり、自己都合で離職した人や懲戒免職で離職した人は、ハローワークで失業手当の手続きをしてもすぐに給付を受けることはできません。 労働者が安心して再就職活動を行えるようにするために、2025(令和7)年4月より給付制限期間が見直されます。 具体的には、離職期間中や離職日前1年以内に自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合、給付制限が解除されます。 ●現状・課題 ・自己都合離職者に対しては、失業給付(基本手当)の受給に当たって、待期満了の翌日から原則2ヶ月間(5年以内に2回を超える場合は3ヶ月)の給付制限期間※あり ・労働者が安心して再就職活動を行えるようにする観点等を踏まえ、給付制限期間を見直す必要あり ※ただし、ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練等を受講した場合、給付制限が解除 ●見直し内容 ・離職期間中や離職日前1年以内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限を解除 ※このほか、通達の改正により、原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。ただし、5年間で3回以上の自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヶ月とする ●施行期日 ・2025(令和7)年4月1日 この改正により、転職希望で自己都合退職した方でも、経済的な不安を軽減しつつ転職活動を行えるでしょう。 転職が当たり前になり、人材の流動化が進んでいる状況に対応するための改正といえます。 次の章では、2024(令和6)年10月からの社会保険対象者の適用拡大について解説していきます。
2024年10月からは雇用保険に先立って社会保険対象者が適用拡大
2024(令和6)年10月からは、雇用保険に先立って社会保険対象者が拡大されます。 従業員数51人~100人の企業で働くパート・アルバイトの方で、以下の条件に該当する場合は新たに社会保険の加入対象となります。 ・1週間の所定労働時間が20時間以上 ・月額賃金が8万8000円以上 ・2カ月を超える雇用の見込みがある ・学生ではない これまで家族の扶養に入っていた方は自分で社会保険料を納めることになるため、手取り額に影響が出るでしょう。 「手取りの収入が減る」という点がフォーカスされがちですが、社会保険の負担増は将来の給付増にもつながります。 受給できる厚生年金額が増えれば老後生活の安心につながるのは、わかりやすい例です。 また、健康保険に加入することで傷病手当金や出産手当金の対象になったり、保障が手厚くなったりするメリットがあります。 リスクへの備えも手厚くなるため、負担増は悪いことばかりではありません。