小保方氏のHP開設と繰り返される「流言」の意味
「流言」はなぜ繰り返されるのか?
筆者としては、STAP細胞問題をめぐって主にネット上でこうした流言が繰り返し流布する背景としては、一部の声の大きな人たちが、(1)論文や報告書などの内容を正確に理解していないこと、(2)「量」という概念を十分に理解していないこと、(3)「必要条件」と「十分条件」を混同していること、(4)「再現性の有無」と「研究不正の有無」を混同していること、などがあると考えています。 必要なのは、客観的で正確な情報発信とその継続、そして共有です。(1)については、筆者含めてメディアや科学に職業としてかかわる者がもっと努力をする必要があるかもしれません。(2)と(3)、(4)についても同様なのですが……多くの人は少し立ち止まって考えれば理解できるのではないでしょうか。 そしてネット上では、小保方氏や彼女を擁護する人たちの人格を攻撃する人も散見されますが、流言を無力化しつつ科学を論じるためには建設的な態度ではありません。
----------------------------------- ■粥川準二(かゆかわじゅんじ) フリーランスのサイエンスライター・翻訳者。著書『バイオ化する社会』(青土社)など、監修書『曝された生』(森本麻衣子ほか訳、人文書院)。明治学院大学など非常勤講師。博士(社会学)