ロッテ・髙部瑛斗、最後は故障で離脱するも…7月に月間MVP、打率は.300をマーク
ロッテの髙部瑛斗は、昨季は度重なる故障で一軍出場なしに終わったが、2年ぶりに一軍出場した今季もシーズン終盤に怪我で離脱したものの、7月に月間MVPに輝くなど、76試合に出場して、打率.300、1本塁打、23打点の成績を残した。 完全復活を目指す今季に向け、「実戦をやってみないと新しい感覚が出てこないと思う。新しい感覚を常に求めて、2024年だけじゃなく続けてやっていきたい」と意気込みバットを振ってきたが、練習試合の打率は.156(32-5)、オープン戦も打率.000(8-0)で、開幕は二軍スタート。 「バッティングは本当にまだまだ良くない。基本に戻ってイチからやらなきゃいけないなと思います」。 4月終了時点でファームでの打率は.223(112-25)で、猛打賞が1度もなく、マルチ安打も出場した23試合中3試合と“固め打ち”が少なかった。髙部本人も「固めたいです、そこだけです」とポツリ。 石垣島の春季キャンプの時に、新しい感覚を作っていきたいと話していたが、4月30日時点で「1個良いものが出ても、1個、2個悪いのが出てくるので、そこは調子が良くない時の特徴。調子とかを考えず、技術をもう1回作り直さなきゃいけないという段階です」と打撃の状態が上がってこなかった。 5月に入ってからも13試合に出場して打率.273(33-9)だったが、5月18日に今季初昇格を果たすと、同日の日本ハム戦に代走で出場。「長かったな、、、、打席に向かう時、ヒットを打った後のマリーンズファンの皆さんの歓声に震えました」と、5-4の8回無死走者なしの第1打席、齋藤友貴哉が投じた初球のストレートを三塁線に高いバウンドの安打を放ち復帰後初打席で初安打。 5月22日の西武戦では「結果なので打てたのは良かったですけど、ちゃんと続けられるように。まずは1試合1本。出塁をしっかりできるようにと思ってやっています」と、復帰後初の猛打賞を達成した。 一軍昇格後の打撃について6月2日の取材で「変わらずいいところも悪いところも出ているので、試行錯誤しながら今もやっている感じです」と明かし、「(昇格した時は)そこまでめちゃくちゃ良い感じでもなかったんですけど、一軍でやらせてもらって自分のできる範囲でなんとか試合で形になりつつあるところもあるので、そういういいところを伸ばしながら、悪いところを少しずつ時間をかけて良くしている感じです」と語った。 6月は月間打率.307(75-23)と調子を上げ、7月に入ってからも2日の日本ハム戦で第1号ソロ、4日の日本ハム戦では、1試合に4安打の固め打ち。1打席目が2球(中安)、2打席目が初球(中安)、3打席目が2球(右2)、4打席目が4球(右安)と4安打全て早いカウントからの安打だった。 「初球から打ちにいけている時はいい時だと思うので、悪い時も早打ちでアウトになってしまうんですけど、そこは怖がらずに攻めていって、いい結果を求めている。そこはいい結果が出ている時は、たまたまそういうのが多いのかなと感じています」と分析した。 7月9日の取材でもまた、「(打撃の状態は)変わらずよくはないですけど」と自身の打撃に納得がいっていなかったものの、「できることをその日のうちにちゃんとやろうとしてはできている。アウトになっても前を向いて次の打席というのはできているかなと思います」と、ポジティブなものになっていた。 具体的に良くないところについて訊くと、「その日その日で体の悪い癖が何個かあって、それが出てしまう。そこをうまく意識しながら、癖が出ないようにちゃんと打ちに行ったり、方向性を考えたりとか、待つ球であったりとか、そういうのはちゃんとやるようにしています」と教えてくれた。 それでも、7月はリーグトップの打率.405、出塁率.457、リーグトップタイの30安打、リーグ3位の長打率.541を記録するなど、7月度の『大樹生命月間MVP賞』を受賞。 「ヒット出ていることに対して悪くはないと思うんですけど、1打席、1打席違いますし、アウトのなり方もいろいろある。今はたまたまかなという感じです」と満足していなかった。 納得していない部分について「調子って常に変わってくると思うので、そういうところでも今(8月1日取材時点)はたまたま打てているだけかもしれないですし、これから打てなくなる時もあると思うので、今を大事にという感じでやっています」と気を引き締めた。 8月に入ってから当たりが止まり、8月の月間打率は.182と沈んだ。ただ、8月15日の日本ハム戦、0-0の初回一死一、二塁で三塁盗塁を決めたが、1回裏の守備から途中交代したり、8月30日のソフトバンク戦から3試合連続ベンチ外ということもあった。9月3日にZOZOマリンスタジアムで行われた練習では、ウォーミングアップから全体練習に参加し、「膝の状況は試合には出させてもらう予定なので、だいぶ良くなっていると思います」と話していた。 その言葉通り、9月6日の楽天戦から復帰したが、8日の楽天戦(ZOZOマリン)で、守備の際に左手首を負傷し、9日に一軍登録抹消。球団から同日に「左手関節の捻挫」と診断されたことを発表された。さらに、9月26日には右膝二分膝蓋骨骨片切除術及び右大腿外骨腫切除術を行った。 リーグ優勝、CS争いが佳境を迎えるシーズン最終盤で離脱したのは、本人にとってもチームにとっても痛かった。チャンスメイクができ、得点圏打率.333とチャンスにも強い髙部が打線にいるのといないのとではつながりが変わってくる。来季はシーズン通して一軍でプレーし、規定打席に到達して打率3割をクリアして欲しい。 取材・文=岩下雄太
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