史上最低水準の「航空チケット」価格、なぜ過去最高水準と感じてしまうのか?(海外)
なぜ航空運賃は下落したか?
航空業界の専門家によると、インフレ調整後の航空運賃が下落している最大の要因は、格安航空会社(LCC)の台頭にある。 業界団体エアライン・フォー・アメリカが行った米運輸省データの分析によると、2000年は米国内旅行者の73%がユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空を利用していた。だが2023年になると、サウスウェスト航空、ジェットブルー航空、スピリット航空、フロンティア航空のような格安航空会社の台頭により、その割合は52%に低下した。 これにより、航空業界関係者が「サウスウェスト効果」と称する影響を通じて、航空運賃が下落した。 「リサーチャーが航空運賃を調査したところ、サウスウェスト航空やスピリット航空のような格安航空会社が新規路線を就航し始めると、その路線を運航しているすべての航空会社の運賃が平均20%下落する」とキース氏は述べた。これは、余暇に旅行する人にとって、購入判断においてダントツで重要なのはチケット価格だからだ。したがって、特に格安航空会社の新規参入による競争激化で、軒並みチケット価格が下落するのだ。 キース氏は、航空運賃を押し下げたもう1つの要因は、「機体数の増加と大型化」だと言う。 航空会社が保有機体数を増やしていることに加え、ここ数十年は小型機を退役させて大型機に入れ替えてきた。2005年は座席数が151席以上の商業用航空機は11%にすぎなかったが、2023年には48%に増加している。 「機体の大型化、燃料効率の改善、座席数の増加で航空会社の飛行コスト全体が低下しており、それで浮いた分を旅行者に還元している」とキース氏は言う。 LLCとの競争や、LLCがひと役買ったインフレ調整後の航空運賃の低下にもかかわらず、ユナイテッド航空やアメリカン航空、デルタ航空のような航空会社の財務状況は悪化していない。 「インフレ調整後の航空運賃の下落は、大手航空会社3社の業績と無関係なようだ」とタン教授は言う。 キース氏によると、2015~2019年は米国航空会社の業績が「過去最高水準」だった。航空会社のビジネスモデルは依然ほど航空チケット収入に依存しなくなっているため、インフレ調整後の航空運賃が下落しても業績に悪影響を及ぼさなかった、と言う。 「今の航空会社の収益は、エコノミークラスのチケット以外が主流だ。例えば、エコノミーよりもグレードがやや高いプレミアム・キャビンのチケット収益、クレジットカード、出張、関連手数料、貨物およびその他収益が挙げられる」