アマチュアコーチがホークスのキャンプに招聘…プロ未経験者がプロのコーチと審判へ講義する事態に!?
「はじめに甲斐選手から連絡がきたときは震えました…。想像もしていない、思いもよらないところからの依頼でしたから。それで1ヵ月後の’23年1月に大分での自主トレに参加して、フレーミングに関しての指導をさせてもらいました」 当時も、ホークスのレギュラー捕手である甲斐がアマチュアコーチに指導を受けていると報道がされ、いい技術ならプロアマ関係なく教えを乞う甲斐の姿勢を賞賛する一方で、フレーミングは審判を欺く行為という見方もあり、習得すること自体への批判も少なからずあった。それでも甲斐は緑川さんに指導を仰ぎ、自身でも継続して練習を続けていた。 「甲斐選手は自主トレ後に春季キャンプに入り、一緒に練習した技術の向上に取り組んでいたのですが、最初からうまくいくわけではなく、また、それに対してOBの方から苦言を呈されたりして、試行錯誤しつつ、かなり悩みながら練習をしていたようです。 でも、その悩みがふっきれたきっかけがWBCだったと思います。WBCを終えて帰国してすぐに連絡をしましたが、海外で一流のキャッチャーの技術を間近で見て、自主トレでやってきたことが間違いではなかったと確信を得たようでした」 そうして始まった’23年シーズンで、球団が独自で取っているデータから、甲斐のフレーミングの指数がここ2~3年と比べて数値が向上、課題とされていたキャッチングが大幅に改善されていることが証明されたという。この結果を受けて、今度はホークスの球団アナリストから緑川さんに依頼があった。 「’23年9月に、アナリストの方からキャンプに来て甲斐選手以外のキャッチャーにも指導をしてほしいと依頼がありました。そのときに『前例のないことなのでどうなるか分かりませんが、全力でやります。遅くても(’24年の)春季キャンプまでには呼びたいと思っています』と言われたのですが、その年の11月の秋季キャンプから参加することになりました。こういったホークスのスピード感にも驚かされました」 ◆元プロ選手のコーチ陣が居並ぶ前で決死のプレゼン こうして、ホークスの秋季キャンプへキャッチングコーディネーターとして招聘された緑川さん。プロ選手への指導という経験は甲斐の自主トレで経験しているが、大きなプレッシャーとなったのがホークスのコーチ陣への対応だ。元プロ野球選手のコーチがいる中で、アマチュアの自分が指導をする。 想像しがたいプレッシャーとなりそうだが、さらに重圧を与えたのは、キャンプに参加するにあたって、コーチ陣にフレーミングの概要やその意図、取り組み方、練習内容の説明をすることだった。