アマチュアコーチがホークスのキャンプに招聘…プロ未経験者がプロのコーチと審判へ講義する事態に!?
「え!? そこも!? と(苦笑)。僕はこれまでフレーミングに興味を持ってくれている選手への指導はしてきました。ただ、フレーミングに反対、興味がないという方もコーチ陣の中にはいると思います。しかも相手は髙谷さん(裕亮、元ソフトバンクホークス、現バッテリーコーチ)や、清水さん(将海、元ロッテほか、現二軍バッテリーコーチ)、的山さん(哲也、元近鉄ほか、現4軍バッテリーコーチ)といった錚々たる面子です。自分とは比べ物にならない経歴、実績も年齢も自分より上の人にプレゼンするのがとにかくプレッシャーでした」 しかも、事前に聞かされていたのは、到着して挨拶を済ませて落ち着いたタイミングでホテルの会議室で行うはずだったが、到着したその日にすぐ、球場の一室で行うことになったという。 「部屋に入って準備をしていると、コーチ陣の皆さんが、ものすごい緊張感を漲らせながら入ってこられて。 そりゃあそうですよ、プロ経験もない若造が来て、コーチがいる中で何を話すんだ? って思われても仕方ありません。とにかくリスペクトがないと受け入れてもらえないと思いました。 僕もコーチ陣の皆さんにはリスペクトがありますし、シンプルに僕が好きで突き詰めてやっていること、好きでこうしたくてやっていることを素直に伝えようと思いました。何日も前から、野球の練習ではなく、しゃべる練習を何回もしていました(笑)」 緑川さんの必死のプレゼンで思いやフレーミングの重要性が伝わったのか、プレゼンが終わった後は、始まる前と空気が変わったという。 「講義が終わった後は、皆さんに『あ、そういうことか』と思っていただいたようで、僕の取り組みや指導することが一応、認められた雰囲気になったというか。なごんだ空気にしてもらいました。 そこから本当に空気が変わったのは次の日の実技でした。練習の時間になって行くと『はい、今日から来てくれた緑川さんです。では、どうぞ』で、なんの打ち合わせもなくいきなりスタート(笑)。 そこで、まずは僕がどういうことをやってきたのかを説明して、実技は構え方、動きの練習、練習メニューの説明、キャッチャーとしての視点を変えること、後ろ(審判側)から見るとどう見えるのか、このボールに対してはこういう動きで、どういう体の使い方をすればいいのかなどを、2時間の間にめちゃくちゃ詰め込んで指導しました。 自分でも頭がカーッとなるくらい全力だったので、ほぼ記憶にありません」 一連の技術指導、練習方法を伝え終えると、今度はコーチ陣から「この場合はどうすればいい?」「この練習メニューは?」と質問もしてもらい、緑川さんの指導も継続して取り組んでいこうという流れになったという。前日の説明とこの日の実技や練習方法などを実際に目にし、体験したことでさらに信頼は高まった。一方で、アマチュアコーチからも新しい技術を取り入れようとするコーチ陣の勘と向上心にも緑川さんは驚かされた。