GPT-4oの価格が大幅値下げ、競合に対抗するOpenAIの静かなアップデート、その裏では驚愕のプロジェクトが進行中
OpenAIの極秘プロジェクト「Strawberry」
現在、OpenAIの動向でとりわけ注目されているのがプロジェクト「Strawberry」だ。ロイター(2024年7月12日)の報道によると、OpenAIが「Strawberry」というコードネームのもと、新しい推論技術の開発に取り組んでいることが明らかにされた。 Strawberryの詳細は、OpenAI社内でも厳重に機密扱いされているという。ロイター通信が独自に入手した内部文書によると、このプロジェクトの目的は、AIが単に質問に答えるだけでなく、インターネットを自律的に操作して「Deep Research」を行う能力を開発することにあるとされる。 OpenAIのサム・アルトマンCEOは今年初め、「AIにおいて最も重要な進歩は推論能力に関するものになるだろう」と発言。実際、推論は、AIが人間レベルまたは超人間レベルの知能を達成するための鍵だと、多くの研究者が指摘するところ。 Strawberryプロジェクトの特徴の1つは、AIモデルの性能を向上させる新しい手法を採用している点だ。この手法は「ポストトレーニング」と呼ばれ、AIモデルが一般的な大量のデータで学習した後、さらに特定の課題に特化した調整を行うプロセスを指す。この方法は、2022年にスタンフォード大学が開発した「Self-Taught Reasoner(STaR)」という技術に似ているという。STaRでは、AIが自ら新しい学習データを作り出し、それを使って自身の能力を向上させていく。これにより、AIの知能レベルを段階的に引き上げることができるのだ。 Strawberryプロジェクトの目標の1つは、AIモデルの「長期展望タスク(LHT)」の実行にあるとされる。長期展望タスクとは、複雑で長期的な課題に対し設定される一連のタスクのこと。難しい目標を設定し、それを実現するには、どのようなアクションが必要なのかを自ら考え、実行するAIモデルだ。この目標を達成するため、OpenAIは「Deep Research」と呼ばれる特殊なデータセットを用いて、AIモデルの開発、トレーニング、そして評価を行っているという。 このプロジェクトが成功すれば、インターネット上で独自に情報を収集し、分析することができるAIモデルが登場する可能性がある。またOpenAIは、このAIモデルにソフトウェア開発や機械学習の専門家レベルの作業を行わせる実験も計画しているとのこと。 Strawberryは、以前「Q*」と呼ばれていたプロジェクトの発展形だと考えられている。ロイターの昨年の報道によると、Q*はOpenAI社内ですでに画期的な成果として認識されていたという。さらに今年初めには、Q*のデモンストレーションを目撃したという情報筋の証言もある。このデモでは、現在の商用AIモデルでは解けないような高度な科学や数学の問題を解く能力が示されたとのことだ。 2024年8月7日、アルトマンCEOがXでイチゴの写真を投稿したことで、Strawberryプロジェクトに関する憶測はさらに広がりを見せている。
文:細谷元(Livit)