気付いた時には中絶できず…産婦人科に行けない“未受診妊婦”当事者が語る苦悩「不安がどんどん増えていく」
様々な環境や理由などにより、産婦人科に行けない妊婦が“未受診妊婦”と呼ばれている。そもそも妊娠に気付かない、気付いたとしても周囲に相談できない、誰に相談していいかわからない状況があり、中絶できる時期を過ぎてしまい、その結果、出産時に初めて病院に駆け込むという事態も少なくない。2年半前、風俗で働いていたのぞみさんは「おそらくお客さんの誰かだと思う」子を妊娠。気づくのにも遅れてしまい、検査で陽性が発覚したのは、妊娠から6カ月が過ぎていた。 【映像】未受診妊婦になる理由(アンケート結果) 『ABEMA Prime』では、当事者となったのぞみさんに、未受診妊婦であったことの辛さを聞き、母子ともに産婦人科へ通わないこと、飛び込み出産になることのリスク、また未受診妊婦が出ないためには何が必要かを考えた。
■生理不順かと…中絶もできず“飛び込み出産”
もともと生理不順があったのぞみさんが、生理が来ないなと気にし始めたのは3カ月を過ぎたころだ。それでも当時は検査もせずにそのまま過ごしていたが、さらに3カ月が過ぎても生理が来なかった。さすがにおかしいと思い、自分で検査をしたところ陽性に。ただし経済的不安、妊娠のきっかけとなったパートナーがいないこと、さらに相談できる人もいないことから、病院には行かなかった。そして昨年2月、漫画喫茶にいたところで陣痛が始まり、救急車で運ばれた末、緊急帝王切開で男児を出産。幸いにも母子ともに健康だった。 のぞみさんは、当時の状況を振り返る。「ずっと不安しかなかった。一番の要因は、やはり生活が安定していなかったのと、病院にかかるお金。貯金もあまりなかったし(妊娠によって)収入源が断たれるというのが怖かった」と述べた。妊娠発覚後も、つわりなどはなく、自分が体調不良だと感じられるものはなかった。その結果、一度も産婦人科にかかることなく、救急車でかつぎこまれて出産した当日も、今が妊娠何週目で、赤ちゃんがどういう状態なのか、全く情報もない段階での飛び込み出産。「救急車で連絡してもらえて、奇跡的に受け入れてくれる病院があって緊急帝王切開」という流れで、出産を迎えた。 未受診妊婦の危険性は、山王ウィメンズ&キッズクリニック大森の高橋怜奈院長が説明した。「感染症のリスクもあり、赤ちゃんが何週かわからないところから、 すごく早産の可能性もある。早産だと、新生児の医療がちゃんとしている病院でないと受けられないこともある。赤ちゃんの状態も、お母さんの状態もわからないというのはすごくリスクがある」。実際に2007年8月、奈良県で未受診妊婦が、腹部・腰部の痛みを訴えて救急要請。かかりつけ医もおらず、妊娠何週目か不明だったこともあり、救急要請から約1時間半かけて、13件目にしてようやく県外の受け入れとなる病院が見つかった。ところがその後、子どもは心肺機能停止状態が確認され死産という、悲しいこともあった。