気付いた時には中絶できず…産婦人科に行けない“未受診妊婦”当事者が語る苦悩「不安がどんどん増えていく」
■なぜ未受診妊婦に?理由1位は「知識の欠如」
未受診妊婦になってしまう理由の1位は「知識の欠如」だ。かなり幅のある理由だが、そもそも妊婦が妊娠していることに気付かないというケースは、決して珍しくない。高橋氏は「30何週を超えると(胎児が)動いたりするので、なんとなく気づく。『知識の欠如』もすごく広義の意味で、妊娠の兆候に気づかなかったり、出血があったらイコール生理だと思っている。医学的には、着床出血といって、妊娠したばかりの時にも血が出ることがある。生理不順の人は出血があるけど『いつものことか』と、生理が来ないけどこのくらいはあると思って、気付いたらもう20何週になっているという人も多い」そうだ。 また大学4年、22歳の時に妊娠・出産を経験したコラムニストの河崎環は、妊婦ゆえの孤独を述べた。「私の場合はたまたますぐに産婦人科に受診して、そこから順当な出産をさせてもらえたが、あの時妊娠がわかったら医者に行くんだということを知らなかった。相談できる人がいなければ、私はそれこそ『野良妊婦』状態にすごく簡単に転がった」と想像した。 さらに初めて産婦人科に行った際も「検査をして『おめでとうございます。あなたにこの母子手帳が発行されます』と渡されて、その母子手帳にはクーポンがいっぱい入っていて、いろいろな検診を無料で受けることができますと。そこで初めて『そうか、出産はお金がかかるんだ』となる。学生だから初めてそこで理解した。経済的にものすごく負担があるものだと、大学生の私には誰も教えてくれなかった。妊娠がわかったら誰に相談しましょう、どこのお医者さんに行けばいいんだと、誰も当時の私に教えてくれなかった。妊娠するのは女の側だけなのに、なんて女の人は孤独なんだと、声を大にして言いたい」。
■未受診妊婦で出産、子どもは特別養子縁組に
1人で出産したのぞみさんは、生まれた男の子を特別養子縁組に託した。「その子に愛情が全く芽生えなかったわけではなく、定期的に数カ月に1回、成長過程を送ってもらえている。こんな感じで今、成長してるんだという感じの気持ちはある。今のご時世、シングルマザーの方も多いけど、1人で育てるよりは夫婦揃って、お父さんもいる状態で育ててもらう方がいい。あとは、私の生活が安定しているわけではなく、傷つけてしまったり、我慢させたり、そういうのが嫌だった。施設に入れるのも嫌だったので、家庭を知ってもらう意味でも、特別養子縁組を選んだ」。 また高橋氏は、望まない妊娠に対して、人工妊娠中絶やアフターピルの必要性も語った。「人工妊娠中絶が悪いことと思ってほしくない。あくまで、妊娠を継続する・しないは女性の権利。人工妊娠中絶薬も認可されて使えるところも増えて、選択肢としてはちょっとずつ広がっている。お金はかかるが、それをNPO法人が負担をしてくれるところもある。ぜひ相談してほしい」と伝えた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部